米政府が一部閉鎖 国境の壁建設費巡り、つなぎ予算案成立できず

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米連邦政府の暫定予算が22日失効し、午前0時から政府期間が一部閉鎖されることとなった。トランプ大統領が公約の柱とする国境の壁の建設費57億ドルの新たなつなぎ予算への計上を巡り、議会および政府の間で打開策が見出せなかった。

政府閉鎖は今年3度目で、1977年のカーター政権以来の事態だという。

今週水曜日、上院では壁建設費57億ドルを含まないつなぎ予算案を可決しが、トランプ大統領は署名しない意向を表明。これを受け、その翌日21日に、下院では57億ドルを盛り込んだ予算案を217-185で可決したが、上院では壁建設費を巡る妥協点が見出せず、採決が行われないまま議会が休会した。

トランプ大統領は金曜夕方、ビデオを通じて「我々は閉鎖をする」と発表。民主党が賛成を投じる以外にできることはない、と閉鎖の原因が民主党にあることを強調した。

しかし、トランプ大統領は12月11日、チャック・シューマー上院議員とナンシー・ペロシ下院議員ら民主党トップとの会談で、壁建設費が計上できなければ、自信を持って政府閉鎖をすると宣言。カメラの前で、閉鎖を民主党の責任にしないとし、責任は自分が引き受けると発言していた。

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22日、チャックシューマー上院議員とナンシーペロシ下院議員は共同声明を発表。「トランプ大統領は25回以上にわたり、政府閉鎖を望むと発言し、今、彼はその望みを手に入れた」とトランプ大統領の責任に言及。「多数派となる新下院民主党は、一月、政府を再開するための法案をすみやかに採決する」と述べた。

政府機関の一部閉鎖が与える影響は?

民主党によると、現在約210万人いる連邦政府職員のうち、約80万人が影響を受けるとされている

  • IRS(内国歳入局)の職員5万2000人を含む約38万人は、無給の休暇を取得する。
  • 80%の国立公園局(NationalParkService)の職員、96%の航空宇宙局(NASA)の職員、86%の商務省の職員は自宅待機となる。
  • 4万1000人の連邦法執行局ほか、刑務官、航空や郵便関係の職員など42万人は無給で仕事を続ける。
  • 国土安全保障省や、運輸、商業、州、農業、内務、財務、住宅・都市開発省などは大きな影響を受ける。
  • 国防総省、退役軍人局、保健社会福祉省は既に予算を受け取っており、閉鎖の影響を免れる。
  • 自由の女神などの国立公園は閉鎖される。前回の政府閉鎖時は、ニューヨーク州が費用を肩代わりし、オープンさせた。
  • LAタイムズによると、イエローストーンや、グランドキャニオンには入場できるが、ビジターセンターは閉鎖される予定。
  • ワシントンDCのスミソニアン博物館は1月1日までの予算を確保しており、年内は開館する。
  • 郵便局は配達を続ける。運輸保安局(TSA)、低所得者向け医療メディケアのサービスや、社会保障小切手は受け取ることができる。
  • モラー特別検察官によるロシア疑惑の調査は引き続き行われる。