白人が置き代えられる、トランプ支持者の6割「グレートリプレースメント理論」に賛同

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lev radin / Shutterstock.com

YahooニュースとYouGovが行った調査で、トランプ支持者の6割が、「グレートリプレースメント理論」に関連する主張を信じていることがわかった。

グレートリプレースメントは陰謀論の一種で、非白人が、白人の有権者を「置き換える」ために欧米に持ち込まれていると唱えるもの。今月14日に起きたニューヨーク州バッファロー銃乱射事件では、犯人の犯行の動機との関連が指摘されている。事件を起こしたペイトン・ジェンドロン(18)被告は、動機や計画を記したマニフェストをオンラインに投稿しており、その中で自身を白人至上主義者、反ユダヤ主義者と名乗り、「リサーチ」を通じて、白人の出生率の低下や、「ヨーロッパ人は完全に、人種的かつ文化的に置き換えられる」という危機感を抱いたと説明していた。被告が狙ったのは黒人居住者が大半を占める地域の食料品店で、10人が殺害され、3人が負傷した。

調査では、トランプ氏に投票した有権者の61%が「国内のあるグループが、生粋のアメリカ人を、政治的考えを共有する移民や有色人種に置き換えようとしている」とする主張に同意すると答えた。「同意しない」は22%だった。

共和党支持者では54%、FOXニュースの視聴者では53%が同意すると答えた。全体では34%だった。

また、トランプ支持者と共和党支持者の大半(それぞれ73%と64%)が、「米国では白人に対する差別は、黒人に対する差別と同じくらい大きな問題」と答え、さらに69%と66%が、「生粋のアメリカ人が経済的、政治的、文化的に影響力を移民に奪われていることを、非常にまたはある程度懸念している」にも同意すると答えた。

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バッファローの銃撃犯の動機について、トランプ支持者とバイデン支持者の大半が「人種差別主義」という回答で一致したが、事件に「最大の役割」を果たした問題については、見解が割れた。

トランプ支持者が「最大の役割」を果たしたものとして最も多く選んだのは精神疾患(56%)で、続いて人種差別(15%)、MSNBCのようなリベラルメディア(14%)、”銃が多すぎる”が2%だった。

一方、バイデン支持者は人種差別がトップで39%、Foxニュースのような保守派メディア(27%)、精神疾患(14%)、銃が多すぎる(10%)と続いた。

銃規制でも鮮明な違い

銃乱射事件を阻止する方法に関しても、違いが明確に示された。

トランプ氏に投票した有権者で「銃乱射事件を防ぐ止める方法はない」と考えているのは、バイデン支持者の約3倍(30% vs. 11%)に達した。また「銃乱射はすでに現行法ですでに阻止できる」と考えているのも、トランプ支持者とバイデン支持者で大きな差が出た(38% vs, 11%)。

バイデン支持者の67%が「銃乱射を阻止する方法はあるが、劇的な法改正を要する」と考える一方、トランプ支持者でこれに同意を示したのはわずか18%だった。同様に、バイデン支持者の54%が「より厳格な銃規制法が、バッファローの事件を防げた」と考えているのに対して、トランプ支持者の77%が、これと反対の回答を選んだ。

調査は5月19日から22日にかけてオンラインインタビューの形式で実施。全国の成人1,573人から回答を得た。

テキサス州小学校銃乱射事件 互いに牽制

調査期間に含まれなかったが、24日、テキサス州の小学校で銃乱射事件があり、児童19人、大人2人が殺害された。容疑者は地元の18歳の男で、警察官によって射殺された。事件の二日前に半自動ライフル銃を購入したと報じられている。

アジア歴訪から戻ったばかりのバイデン大統領は同日、議会に厳格な銃規制法案の成立を強く呼びかけた。

バイデン氏は「このような事件は世界では滅多に起きていない」と強調。2012年のコネチカット州サンディフック小学校銃乱射事件以降、学校で900件を超える銃撃事件が報告されていると述べ、「うんざりしている。行動を起こさなければならない。この大虐殺にわれわれがなんら影響を与えることができないなどと言ってはならない」と語った。

上院議員から副大統領時代まで、「常識的な銃規制法」の成立に尽力してきたとした上で、「法案が機能し、ポジティブな影響をもたらすことはわかっている」と2004に失効した攻撃用武器所有の禁止法に言及。「銃産業に立ち向かう勇気をもたなければならない」「すべての親、国民のために、この国のすべての公職者に明言しておかなければならない。今こそ行動するときだ」と語った。

一方、テキサス州選出のテッド・クルーズ上院議員(共和党)は首都ワシントンで記者の質問に「この種の殺害があると、政治家たちがこれを政争の具とするのを見るだろう。法に従う国民の憲法上の権利を制限することを解決策だとする民主党とメディアの多くの仲間たちを見るだろう」と牽制。「それはうまくいかない。効果的ではなく、犯罪を防止することにならない」と規制厳格化に反対の立場を主張した。

なお、クルーズ議員は、金曜日にヒューストンで開催される全米ライフル協会の指導者会合に、トランプ氏やテキサス州のグレッグ・アボット知事らとともに出席を予定しているという。

テキサス州のケン・パクストン司法長官は25日、Foxニュースのインタビューで「悪い人々が悪いことをするのを止めることはできない」と主張。「教師や他の職員を武装させて、備え、訓練することで迅速に対応できる可能性がある。これが私の意見だ」と語った。