一族企業の刑事訴追に、トランプ氏の反論は?

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1日、マンハッタンの裁判所で罪状認否を終えたトランプ・オーガニゼーションの弁護士、アラン・フタファス(Alan Futerfas)氏は記者団に、脱税などの罪で企業が起訴されたことについて、政治的動機に基づくもので、刑事訴追するべき事件ではないと非難した。

フタファス氏は、民事裁判で解決されるべき事件だと主張。問題とされた幹部に支払われた手当て(フリンジベネフィット)に関する法律は「曖昧で、難解、複雑。専門家でも見解がわかれるからだ」と説明した。

Alan Futerfas credit:mashup NY

また金融危機で、マンハッタン地検は大手金融機関が犯した重大な金融犯罪を追わなかったと述べつつ、「政治的な力が本日の訴追へと導いた」「もし企業の名前が違ったなら、これらの起訴はなかった」と批判した。

マンハッタン地検は30日、トランプオーガニゼーションと幹部のアレン・ワイセルバーグ最高財務責任者を詐欺行為の画策や共謀、脱税、業務記録の改ざんなど複数の罪で起訴した。

検察は訴状で、トランプ・オーガニゼーションとワイセルバーグ氏は2005年から、幹部に「帳簿に載らない」方法で報酬を与えるスキームを画策。受益者らは収入の相当な部分を税金を支払わずに受け取ったと主張した。

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最大の利益を被ったのはワイセルバーグ氏で、会社から提供されたアパートやベンツのリース、家具、孫の学費など、本来課税対象となる手当てについて、税金の支払いを逃れたと説明。また、トランプオーガニゼーションの内部では、これら手当ての支払いを記録したスプレッドシートが存在しており、企業が不正を認識していたと主張した。

トランプ氏 犯罪事実を一部認める?

3日夜、トランプ氏はフロリダ州サラソタで開いた集会で、今回の起訴について言及。フタファス弁護士と同様、刑事訴追は政治的で不当だと非難する一方で、問題の手当てについて、税金が支払われていない事実を認める発言を行った。

トランプ氏は「彼らは善良で勤勉な市民を、会社の車の税金を支払わなかったといって挙げようとしている」と述べ、続けて「車や会社のアパートの税金を支払わなかった。家からあまりにも遠くに通勤しなければならないから、アパートが必要で利用した。税金は支払わなかった。または孫の教育についても」と発言。一方、「私でさえ知らない。払わなければならないのか?誰か、これについて知っているか」と、違法性を認識していないことを強調した。

トランプ氏はさらに「いかにこれが不公平か考えてもみろ」と批判。「ニューヨーク市と彼らの検察官、おそらくどの検察官も、企業や個人をフリンジベネフィットで刑事訴追したことなど一度もない」と述べ、「人殺しはオーケー。人身売買は問題なくて、フリンジベネフィットはやってはいけない」と語った。

ワシントンポスト紙によると、税務の専門家らは、フリンジベネフィットで刑事訴追されるのは稀だと指摘しているという。

一方、ニューヨーク大学ロースクールのダニエル・シャビロ教授は、Just Securityへの投稿で、訴追はただのフリンジベネフィットのケースではなく、明らかな詐欺事件だと見解を述べている。シャビロ氏は、被告側は2つの帳簿をつけており、偽物を税務当局に提出して、正確なものは隠していたと指摘。会社から与えられた車やアパートが非課税かどうかという問題はまったく関係ないと述べた。

また、政治バイアスにもとづいた、訴追に値しない瑣末な事件や、単にワイセルバーグ氏を寝返らせるためのものではなく、主張された事実に基づけば、検察官が起訴しないことなど想像することもできない事件だと述べた。