戸建賃貸住宅人気は頭打ち?家賃上昇率がコロナ前の水準に低下

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パンデミック中に急上昇した戸建賃貸住宅の賃料が伸び悩んでいるという。

コアロジックの調査によると7月の戸建賃貸の家賃上昇率は前年同月比で3.1%となり、15ヶ月連続で減少した。

最も高い伸びを示したのはセントルイス(7.3%)で、ラスベガス(-1%)やマイアミ(-0.6%)、オースティン(-0.5%)といったサンベルトの都市圏ではマイナスとなった。コアロジックは、3.1%は2020年以前の平均とほぼ同じだとしている。

低価格帯と比べて高価格帯の物件の家賃の上昇率が鈍り、2.9%(低価格帯4.6%)となった。

従来個人の投資家主体だった戸建賃貸市場は、住宅所有者が大量に差し押さえに追い込まれた2008年の金融危機以降、REITなどの大口機関投資家が進出した。公開会社では2012年に設立され8万戸を管理・運営するInvitation Homesや、同じく2012年にスタートしたAmerican Homes 4 Rent(57,000戸)、非公開ではプレティアム傘下のProgress Residential(95,000戸)、FirstKey Homes(50,000 戸)といった企業が急成長した。

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パンデミック期間中に郊外の戸建賃貸の人気が高まると、低金利と2桁の高い家賃上昇率を背景に投資が加速。ハーバード大学住宅研究共同センターによると、パンデミック前3年間の戸建住宅の購入に投資家が占める割合は16%前後で安定していたが、2021年に急増し、2022年第1四半期のピーク時には28%に達した。2023年に活動は緩やかになったが、それでも2019年の水準を大きく上回っているという。

サンベルトでは機関投資家による戸建の現金購入が増加していた。ニューヨークタイムズによると、2022年に販売された全米の住宅の3分の1以上が現金購入で、このうちの機関投資家が占める割合は10%だったが、ノースカロライナ州シャーロットやアトランタ、アラバマ州バーミンガムといった都市圏では20%近くに上っていた。