3月17日、米証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)は、連名で暗号資産の法的位置付けに関する68ページの解釈通知を公表した。
ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、XRPなど主要16トークンを「デジタルコモディティ」と分類し、原則として証券規制の対象外であることを明確にした。
どのトークンが証券に該当するのか——。業界が長年抱えてきたこの論点に対し、主要資産については初めて体系的な整理が示された形だ。
しかし市場の反応は限定的だった。翌3月18日、ビットコインは約74,000ドルから約70,000ドルへ下落。同日はFOMC(米連邦公開市場委員会)の政策発表とも重なっていた。
トークン分類を体系化 何が変わったのか
今回の通知の核心は、暗号資産の分類枠組みを明確に整理した点にある。
SECのアトキンス委員長は同日開催されたブロックチェーンサミットで、「SECはもはや“証券と何でも委員会”ではない」と述べた。通知では、以下の5区分が提示されている。
- デジタルコモディティ
- デジタルコレクティブル(NFT)
- デジタルツール
- ステーブルコイン
- デジタル証券
このうち、ブロックチェーン上で発行されるトークンであっても、トークン化された証券(デジタル証券)を除き、原則として証券には該当しないとの整理が示された。
デジタルコモディティとして例示されたのは、BTC、ETH、SOL、XRP、ADA、LINK、AVAX、DOT、HBAR、LTC、DOGE、SHIB、XTZ、BCH、APT、XLMなど。市場規模・流動性の高い主要資産が広く含まれている。
また、以下の点も明確にされた。
- マイニング、ステーキング、トークンのラッピングは証券取引に該当しない
- エアドロップは「投資契約」における資金投入の要件を満たさない
さらに、トークン自体は証券でなくとも、販売の文脈によっては投資契約に該当し得るという従来の整理も維持された。
これにより、取引所や機関投資家にとって大きな論点だった「未登録証券リスク」は、主要トークンに関しては大きく後退したとみられる。
立法プロセスにも動き CLARITY Actは前進するか
今回の整理はあくまで規制当局による解釈であり、恒久的な制度として確立するには議会による立法が必要となる。
その中心にあるのが、デジタル資産の市場構造を定義するCLARITY Actだ。
3月17日に初日を迎えたブロックチェーンサミットでは、上院銀行委員会の委員長ティム・スコットが「過去30日間で大きな進展があった」と説明。ホワイトハウスの関与が強まっていることにも言及した。
焦点となっているのは、ステーブルコインに関連する「リワード(利回り提供)」の扱いだ。
トム・ティリス上院議員は、交渉が最終段階にあるとの認識を示し、来週にも一定の結論に近づく可能性を示唆した。
一方で、民主党のバーニー・モレノ議員は「5月までに成立しなければ当面成立は困難」と警告している。TDコーウェンのアナリストは、実質的な期限を議会の夏季休会前である8月とみている。
市場が動かなかった理由
今回の発表は規制の不確実性を大きく低減させる内容だったが、価格への影響は限定的にとどまった。
背景として、複数の要因が重なっている。
まず、タイミングの問題だ。
発表翌日の3月18日はFOMCと重なった。2025年には8回中7回でビットコインが下落しており、いわゆる「ニュースで売る」動きが繰り返されている。
今回も市場予想通りの金利据え置きとなったが、パウエル議長の発言やインフレ見通しがリスク回避の動きを誘発した可能性がある。
次に、地政学的要因がある。
イラン情勢の緊張が続くなか、市場全体がリスクオフ傾向にあり、個別の好材料が価格に反映されにくい環境となっている。
さらに、規制の方向性自体はすでにある程度織り込まれていた可能性もある。
3月11日のSECとCFTCの覚書(MOU)や、アトキンス委員長による一連の発言を踏まえれば、今回の通知はその延長線上に位置付けられる。
規制明確化は時間差で反映される可能性
規制環境の変化が価格に反映されるまでには、一定の時間を要するケースも少なくない。
直近では、リップル訴訟の終結時も、初動の反応は限定的だったものの、その後数週間をかけて市場に織り込まれていった。
今回の通知により、主要トークンに関する規制上の枠組みは大きく整理された。立法の行方やマクロ環境の変化とあわせて、その影響がどのように市場へ波及していくかが、今後の焦点となる。




