ニューヨークでジャズを聴くならココ 新進気鋭のジャズドラマーが教えるおすすめスポット

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ニューヨークを訪れる方の中には、本場のジャズの生演奏を聴くことを楽しみにしている方も多いハズ。今回は、今年9月にファーストアルバム『First Fish』の発売を予定する新進気鋭のジャズドラマーで作曲家の三上麟太郎さんに、ジャズ通から初心者までが楽しめるおすすめのスポットを伺った。

パンデミック前後の変化について、「(以前は)世界中からのミューシャンがもっとたくさんいて、日本人も多かったと思います」と話す三上さん。ジャズ・スタンダードや55バーといった有名クラブが閉店し、ミュージックチャージも高くなるなど、「好きなアーティストの演奏を聴いてインスピレーションを受ける毎日」がやや送りづらくなったものの、ようやく以前の活気に戻りつつあるという。

オーニソロジー・ジャズ・クラブ

そうした中、注目を集めるクラブの一つが、2021年10月にブルックリンのブッシュウィックにオープンした「オーニソロジー・ジャズ・クラブ」だという。チャーリーパーカーの名曲の名を冠した同クラブは、ミュージックチャージを取らず、「ミュージシャンたちが切磋琢磨しあう場所」として人気。最近ではリスナーも多く訪れるという。オーナーは、マンハッタンのウェストビレッジにある有名クラブ「スモールズ」をオープンした方だそう。

6 Suydam Street, Brooklyn NY 11221

カフェ・ボヘミア

1950年代にアート・ブレイキー・ジャズメッセンジャーズやマイルス・デイビス・クインテット、ケニー・ドーハム&ザ・ジャズ・プロフェッツなど名だたるバンドが名演を繰り広げたクラブ「カフェ・ボヘミア」。約60年の時を経てウェスト・ビレッジのオリジナルロケーションに2019年に復活した。コロナで一時的に閉鎖したが、最近になって再オープンしたという。

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「若手ミュージシャンがライブをする場所になっていて、深夜ならミュージシャンはチャージなしでジャムセッションに参加できるので、重宝しています」。

15 Barrow Street New York, New York 10014

ヴィレッジ・ヴァンガード

数えきれない著名なジャズ・ミュージシャンを迎えてきた「ヴィレッジ・ヴァンガード」は、営業を続けるクラブとしては、ニューヨークで最古。「雰囲気的にも良い演奏をガッツリと聴きたいという方におすすめです。演奏が始まると明かりを落としてステージだけにフォーカスされるので、集中して演奏を楽しむことができると思います」。出演者は週替わりで、事前に調べて行くと良いとのこと。

178 7th Ave S, New York, NY 10014

バードランド

閉店や移転を繰り返し、1980年代から現在のブロードウェイ劇場の立ち並ぶシアターディストリクトに店を構える「バードランド」。「落ち着いて聴くことができて、ビッグバンドからトリオまで色々なフォーマットの演奏が聞くことができるので、初心者の方にも良いと思います」。

315 W 44th St, New York, NY 10036

カジュアルに楽しむ

かしこまって聴くだけでなく、カジュアルに楽しむのもニューヨーク流。2021年に「ファット・キャット」から名前を変えて再オープンした「セラー・ドッグ」は、卓球やビリヤード場に併設された空間でジャズを聴くという、アメリカンな雰囲気が魅力。今の季節なら、ワシントン・スクエア・パークやセントラル・パークといった公園でパフォーマンスをするミュージシャンも多い。ランチを買ってピクニック感覚で聞いてみるのも良い。セントラルパークで新婚の写真スポットとして人気のレディース・パビリオン周辺では、三上さんが仲間と演奏することもしばしばだとか。

世界のトップミュージシャンが集まるニューヨークでは、有名無名に関係なく高度な演奏に出会える。「ジャズの初心者でも、まずは聴いて、直感的に感じていただければ良いかと思います。そこから少しずつ発見を積み重ねて音楽の魅力を知っていただくと面白いと思います」。

三上麟太郎 リーダー第一作『First Fish』9月15日リリース

昨年ニューヨークのニュースクールのジャズプログラムを卒業し、さらなる活躍が期待される三上麟太郎さん。ファーストアルバムには、学舎をともにした若手気鋭の仲間らが参加し、オリジナル8曲とドラムソロの計9曲を収録。本場ニューヨークのコンテンポラリー・ジャズサウンドに仕上げた。中学生の時に山海留学生として過ごした鹿児島県口永良部島での経験が、今でも自身の支えであり、一連の作曲のインスピレーションのもとになったという。

Cover Art by Laney Lai

Rintaro Mikami (drums, compositions, lyrics, voice track 1)
David Truilo (tenor sax)
Omri Bar Giora (guitar)
Henry Plotnick (piano)
Bar Filipowicz (bass)
Lily Resnikoff (vocals,Special Guest)
Ariel Bart (harmonica,Special Guests)

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