転向療法を禁止。ニューヨーク州で法案可決。

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ニューヨーク州議会は16日、コンバージョン・セラピー(転向療法)を禁じる法案と、ジェンダー・アイデンティティー(性自認)による差別を禁じる「性表現非差別法案」(Gender Expression Nondiscrimination Act (GENDA)を可決した。

両法案は上院と下院で可決され、今後はアンドリュー・クオモ(Andrew Cuomo)ニューヨーク州知事が法案に署名し、成立することとなる。

同様の法案は、過去に11回下院を通過しているが、共和党議員が多数を占めていた上院で否決されてきた。しかし昨年の中間選挙で、州議会上院を民主党が多数となったため、両院での可決が実現した。

GENDAでは、性表現や性自認を理由に、仕事や住居、公共施設、教育を与えないことが禁じられる。

ニューヨーク州でLGBTQコミュニティの新たな権利が認められるのは、同性婚を認める法律(Marriage Equality Act)が施行された2011年以来となる。

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転向療法とは

転向療法(コンバージョン・セラピー)は、認可を受けた心理カウンセラー等が、心理療法や、物理療法を用いて、未成年の性的指向や性自認を変更しようとするもの。
ニューヨーク州が禁止に加わることで、ワシントンD.C.など全15州で禁止される。

U.C.L.A. ロースクールのウィリアムズ研究所の調査によると、これまで転向療法を受けた人のうち、約70万人が心的外傷を抱えているという。
2018年初頭では、約2万人の若者がセラピーを受けると見込まれていた。5州がセラピーを禁止したことを受け、今年はその数が1,000人まで減少すると発表している。

転向療法は、映画『ある少年の告白』(Boy Erased)が今年米国で公開されたことでも、話題となった。
映画は、少年時にセラピーを体験したガラルド・コンリー(Garrard Conley)氏の自叙伝「ボーイ・イレースド:メモワール」(Boy Erased: A Memoir)を元に製作された。

監督はジョエル・エドガートン、主役にルーカス・ヘッジズほか、ニコール・キッドマン、ラッセル・クロウ、ザヴィエ・ドラン、トロン・シヴァンらが共演している。原作者のコンリー氏は、転向療法を廃止するためのアクティビストとして活動している。