NY在住の元ナチス協力者 国外追放へ

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米司法省(Department of Justice、DOJ)は、21日、クイーンズのジャクソンハイツ在住の男性で、元ナチス協力者のヤキブ・パリー(Jakiw Palij)氏(95歳)を逮捕し、国外追放することを発表した。男性はウクライナ出身だが、ドイツが受け入れを発表している。

20日朝、移民・関税執行局(ICE)に連行されるヤキブ・パリー氏。

虚偽の申告で米国に入国

米司法省によると、パリー氏は、ポーランドの強制収容所で武装看守として働いていたが、戦後、虚偽の報告を行い、米国に入国した。パリー氏は、1943年11月3日、1日としては最大人数となる6,000人が虐殺されたトレブリンカ(Treblinka)強制収容所などで働いていたとされている。

ABCなどの報道によると、パリー氏は1949年米国に入国し、1957年に市民権を付与された。その後の政府の調査により、ナチス政権の協力者として任務を行っていたことが明らかとなり、2003年に市民権を剥奪された。2004年に判事より国外退去するよう命じられたが、出身国のウクライナ他各国が受け入れを拒否したため、国外追放は棚上げとなっていた。

昨年、ニューヨーク州の議員が、ティラーソン国務長官に早期解決を促す書面を送付したり、パリー氏の自宅前で抗議集会が開催されるなど、追放を望む声が高まっていた。

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ドイツのメルケル首相とのトップ会談の後、ドイツが受け入れを承諾したという。ドイツの米国大使、リチャード・グレネル(Richard Grenell)氏は、パリー氏の国外追放はトランプ大統領の尽力だと述べている。グレネル氏は、トランプ氏が「ナチスを追い出すことが最優先事項だ。」と述べたとし、「ドイツ政府は、彼の受け入れに関して、道義的な義務を負う」と記者団に語った。
米国では、これまでに67名ののナチス協力者が米国を追放されている。

ドイツでナチスの追跡を行っているジェンス・ロンメル(Jens Rommel)氏によると、ドイツでは、親衛隊の元メンバーであることで、直ちに訴追されるわけではないという。