全部嘘だった!がん患者装って400人から寄付金 19歳女が逮捕

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自分をがん患者と偽り、クラウドファンディングサイトで寄付金を集めるなどしていた19歳の女が、窃盗の容疑で逮捕、起訴された。本人が投稿したTikTokの動画で、体につけた医療用機器を不審に思った医療関係者からの通報が捜査のきっかけになったという。

逮捕・起訴されたのはアイオワ州在住のマディソン・マリー・ルッソ被告(19歳)。第一級窃盗罪で起訴され、有罪となった場合、最長10年の禁錮刑を課される可能性があるという。23日に拘束され、その日に1万ドルの保釈金を支払い、保釈されている。

地元テレビ局が警察の宣誓供述書をもとに伝えたところによると、ルッソ被告は、SNSなどを通じて、ステージ2の膵臓癌と急性リンパ芽球性白血病を患い、背骨を包み込むようにフットボール大の腫瘍があるなど、虚偽の主張をしていた。メディアの取材や大学のイベントにゲストスピーカーとして招かれ、闘病生活を語ったこともあった。

昨年10月に受けた地元の新聞のインタビューでは、1型糖尿病と診断された2年後の2021年冬に不調を覚え、血液検査で、白血球の数値が正常な範囲にないことが判明したと説明。さまざまな検査を受けた後、アイオワ大学の腫瘍科に行きついたなどと話した。2022年2月に電話で病名を告げられたとして「恐ろしかった。いまでもそうだ。衝撃を受け、本当だと思えない。若いのに、なぜこんなことが起きるのか。すべての感情がかけめぐり、呆然としていた」と述べ、現在の心境について「もちろん毎日が晴天というわけにはいかないけど、癌に腹を立ててばかりもいられない。落ちこんで暗闇にいれば、体はよくならない気がする」などと語っていた。

さらに、医師から手術をする方が危険だと告げられ、5年後の生存率は11%だと知らされたとも説明。4日後のバレンタインデーから本格的ながんとの戦いをはじめ、経口化学療法と放射線療法を繰り返していると話していた。

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これらの嘘を通じて、ルッソ被告は439の団体や個人から寄付金を受け取っていた。この中にはがんに関連した財団も含まれている。警察は1月19日の時点で、クラウドファンディングサイト「GoFundMe」に、3万7,000ドルの寄付が集まっていたとしている。

自宅で撮影していたとみられ、部屋からは医療用具が入った紙袋、点滴ポール、かつら、ボール、親族名義の吐き気止めの薬が発見された。そのほかに現金や預金通帳に加え、2023年モデルのキア・スポーテージも押収された。

SNSに投稿していた写真の一部は、本当のがん患者のページからとったものであることも判明した。

警察はまた、ルッソ被告が通っていた病院から取り寄せた資料には、がんや腫瘍の治療を受けた記録が一切なかったとしている。

SNSを見て警察に通報を寄せた医療関係者は、ルッソ被告が体につけた医療機器に「生命を危険にさらす恐ろしい誤り」があると指摘したという。

ルッソ被告のTikTok動画は、現在は別のユーザがコピーしたものが出回っており、それによるとある動画では「様々な感情があるけど、髪の毛のことは女の子として一番怖い。髪の毛は人生の大きな部分だし…」などと話しているほか、別の動画では「出来事の多い一週間だったわ。がんの世界では、出来事が多いのは良いことじゃないの。何事もない方がむしろ順調って意味だから」と語っていた。

@bobbysmurdyyy #maddierusso #maddierussofakecancer ♬ original sound – Bobby

一連の動画には「私の息子は本当に生きるために戦っている。腹立たしい」「姉はステージ4の膵臓癌と肺癌、肝臓癌を患っていた。怒りが込み上げる」など、病気に苦しむ患者の家族からのコメントや、「3万7,000ドルを400人の本当のがん患者に支払うべきだ」といった声も寄せられている。

そのほか「誰も彼女の生活を見てなかったの?捕まる前に、どれだけこんなことやっていたんだろう」「どうやって母親と父親を騙したんだろう」と、嘘が長らく気付かれなかったことを不思議に思う声、「たくさんある中から、最小限の知識しかないものを選んだのが驚き」といったコメントも投稿されている。