シリコンバレー銀行破綻 「WOKE」な経営と非難の声

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米ホームセンター最大手ホームデポの共同創業者、バーニー・マーカス氏は、破綻に陥ったシリコンバレー銀行(SVB)について、経営の悪化は、経営陣が「woke(ウォーク)」な取り組みにばかり焦点を当て、株主へのリターンに集中していなかったからだと批判した。

カリフォルニア州の金融規制当局は10日、「流動性の不足と債務超過」を理由にSVBを閉鎖し、預金保護のために連邦預金保険公社(FDIC)を管財人に指定した。FDICは同日、別組織を設立し、資金を直ちに移動したと発表した。

SVBは、シリコンバレーのベンチャーキャピタルとその出資先企業を得意先とする金融機関として知られ、2020年から2年間で預金総額を3倍に増やし、全米16位の銀行に成長していた。

FOXニュースのインタビューに出演したマーカス氏は、この「woke銀行」で、財産を失った人々が不憫だとする一方で、「政権がこうした銀行を、株主還元よりも地球温暖化に関心を持つよう仕向けた」と主張。「経営が悪化しているのは、みんなが多様性や社会問題ばかりに目を向け、本来あるべき姿、つまり株主還元に集中していないからだ」と語った。

Woke(目覚める)は、近年、社会正義や人種差別といった社会問題に意識の高い人々を指す言葉として定着する一方、政治的文脈では、保守派の間で、左派をからかう含みをもつ言葉として頻繁に用いられている。

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マーカス氏は「株主や従業員を守る代わりに、彼らは社会的な政策に関心をもっている。おそらく、それは経営がうまくいっていない銀行なのだと思う」と続け、「多くの人々がお金を失い、取り戻せないのは哀れだ」と話した。

また、バイデン大統領が、経済がいかに素晴らしいかを豪語するのが待ちきれないと皮肉を述べつつ、「これは、彼の話は本当でもなんでもないという表れだ。アメリカ人がついに目ざめ、いかに厳しい時代にあるか、リセッションはすでに始まっているかもしれないと理解することになるかもしれない」と語った。

SVBは2022年のESG報告資料で「持続可能な低炭素・ネットゼロエミッション経済への移行には、イノベーションセクターが不可欠」とした上で、「持続可能な新しいソリューションを構築するクライアントを支援することは、社会と金融システム、お客様、われわれの会社に対するシステミックリスクとなる気候変動の問題に取り組む上で、SVBにとって最も効果的な方法だ」と説明。「イノベーション経済の銀行として、より良い世界のためにお客様の成功とイノベーションを支援するという使命」に従い、「持続可能な取り組みを支援するため」に、2027年までに少なくとも50億ドルを提供するとした。

対象となる取引項目では、プロジェクト・ファイナンスは、エネルギーおよびインフラセクターの脱炭素化および気候変動への耐性を高めることに重点を置くとしているほか、気候技術・持続可能性チームが適格な技術を開発・展開する企業に融資をすると説明している。

デイリーメールは、同行は、内部で幹部の多様性を積極的に推進するなどしていたが、その一方、昨年4月から1月までの9ヶ月間、最高リスク管理責任者が不在だったと報じている。