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アジア系女性を40回以上メッタ刺し ホームレスの男を殺人罪で起訴

ニューヨークのロウアーマンハッタンで、アジア系女性を刺殺したとして、アサマド・ナッシュ(Assamad Nash)被告(25)が14日、第1級殺人罪や性的動機による強盗罪などで起訴された。

有罪となった場合、最高で25年の禁固刑が科される可能性がある。

殺害されたのは、ニュージャージー州出身のクリスティーナ・ヨナ・リー(Christina Yuna Lee)さん(35)。刃物で40カ所以上を刺され、自室の浴室で死亡していた。

チャイナタウン アジア人女性刺殺事件
事件が起きたのは、チャイナタウンの「グランドストリート駅」にほど近い6階建てのアパートメント(MashupReporter

事件が起きたのは、13日午前4時20分ごろ。ナッシュ被告は、1階の扉から、リーさんの後に続いて建物内に侵入。階段を上るリーさんの後をつけ、6階にある部屋に押し入った。監視カメラの映像には、リーさんの背後を歩くナッシュ被告の姿が撮影されている。

ニューヨークポスト紙によると、リーさんの叫び声を聞いた近隣住民が通報し、警察官がすぐにアパートメントに駆けつけたが、内側から鍵がかかっており、部屋に入る事ができなかった。この時、リーさんはまだ生きており、助けを求めて叫んでいた。

その後、声が止み、部屋の中から「われわれに警察は不要だ。向こうへ行け」という別の人物の声が聞こえた。

消防局の緊急サービス部隊が到着し、警官らが部屋に入ったのは通報から1時間半後のことだった。リーさんはすでに死亡していた。上半身は裸で、バスタブの中にいたという。

ナッシュ被告は現場から非常階段で逃走しようとしたが、警官に発見され、部屋に立てこもったという。ベッドの下に隠れているのを発見された。胴体と手足に刺し傷や切り傷を負っていたという。

ドレッサーの後ろから、凶器とみられる黄色い柄のついた刃物が発見されている。

ナッシュ被告は、事件現場から数ブロック離れた場所にあるホームレスのシェルター「ボワリーミッション」に滞在していた。

警察署を出る際、リーさんを殺害したかと報道陣に聞かれると「誰も殺していない」などと言い返した。

なお、ニューヨーク市警察は、現時点では、ヘイトクライムでの捜査は行っていないと発表している。

リーさんは、2008年にラトガーズ大学を卒業。現在はデジタル音楽のプラットホーム企業Spliceで、クリエイティブ・プロデューサーとして活躍していた。昨年ニュージャージー州からマンハッタンに引っ越してきたという。

同社はSNSに、リーさんは「素晴らしい、包括的なアートワークを作ることに心血を注いだ、かけがえのない人物だった」と投稿。同僚の突然の死を悼んだ。

過去に複数の逮捕歴

ナッシュ被告は昨年9月、事件が起きたグランドストリート駅で、男性の右目を殴打した疑いで逮捕、第3級暴行罪で起訴された。保釈金なしで身柄を解かれたが、出廷の日に姿を現さなかったことから改めて逮捕された。しかしこの後、再び釈放された。

ニューヨークタイムズによると、ナッシュ被告は、今年1月にも器物損壊などの罪で起訴されている。事件を担当した判事は、保釈金を設定することが可能だったが、検察側が要求しなかったため、監視下に置くことを条件に釈放された。

ある警官はポスト紙に、今回の殺害事件を「割れ窓理論の完璧な例」と指摘。小さな事件であっても、彼を拘束していれば、彼女は今日も生きていただろうと語っている。

エリック・アダムス市長は14日、記者に対し、ナッシュ被告は釈放されるべきではなかったと指摘。危険と思われる人物に、判事が保釈金を設定できるよう、州の政治家に法を改正するよう働きかけていくと語っている。

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