ブルックリン美術館で、オバマ大統領の肖像画で知られるケヒンデ・ワイリー(Kehinde Wiley)と、フランスの新古典主義を代表する作家、ジャック=ルイ・ダヴィッド(Jacques-Louis David)の絵画を並べて展示する「Jacques-Louis David Meets Kehinde Wiley」がスタートした。

ワイリーの作品「Napoleon Leading the Army over the Alps」(2005)は、200年以上前に描かれた「ベルナール峠からアルプスを越えるボナパルト」(Bonaparte Crossing the Alps、1801)に着想を得て制作された。ダヴィッドの有名なナポレオンの肖像画が、ニューヨークで展示されるのは今回が初めて。

Kehinde Wiley
©mashupNY

ナポレオンの肖像画は1800年、スペイン国王チャールズ4世の委託で制作された。ナポレオンを英雄視させるため、プロパガンダとして描かれた。(実際の戦闘では白馬ではなく、ラバと共に峠を超えたという。)作品左下には、ハンニバル将軍やカール大帝など歴史的な指揮官の名前が入っている。

Jacques-Louis David
Jacques-Louis David (French, 1748–1825). Bonaparte Crossing the Alps (Bonaparte franchissant le Grand-Saint-Bernard), 1800–1. (Photo: Courtesy RMN-GP)

ワイリーの作品では、ティンバーランドのブーツに迷彩柄のパンツを着用。二角帽子の代わりにバンダナを巻いた黒人が、ナポレオンと同じポーズで馬にまたがっている。背景はゴールドとレッドの壁紙で、近づくと無数の精子が見える。ワイリーは、ナポレオンをアフリカ系アメリカ人に置き換えることで、いかに日常的に黒人の集合的文化体験が見過ごされているかを指摘しているのだという。
ダヴィッドの作品について、権力と支配に関するものだと述べるワイリーは、「この絵画の言語全体に関して、世界に個人の力を徹底的に知らしめる方法に魅力を感じている。」と語っている。

Kehinde Wiley
Kehinde Wiley (American, born 1977). Napoleon Leading the Army over the Alps, 2005. (Photo: Brooklyn Museum)

同作品は、2005年からスタートした「戦争の噂」(Rumors of War)シリーズの一つ。最新作のブロンズ像は、南軍の将軍、J・E・B・スチュアート(J.E.B. Stuart)を、ドレッドロックスヘアーの黒人に置き換えたもので、昨年9月にタイムズスクエアで展示された。ブルックリン美術館では、小型のレプリカが展示されている。期間は5月10日まで。

Kehinde Wiley
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Brooklyn Museum
「Jacques-Louis David Meets Kehinde Wiley」1月24日から5月10日まで
200 Eastern Pkwy, Brooklyn
brooklynmuseum.org