イスラエルはイランに「はるかに強力」な対応を、ボルトン元大統領補佐官

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Mohasseyn/shutterstock

トランプ政権で大統領補佐官(国家安全保障担当)を務めた外交のベテラン、ジョン・ボルトン氏(75)は、イランによるイスラエル空爆は、イスラエルおよび米国の「抑止の大失敗」と批判した。

13日晩のCNNの番組に出演したボルトン氏は、「われわれが今晩経験したものは、イスラエルとアメリカの抑止の大失敗だった。大失敗だ。200発の弾道ミサイル、巡航ミサイル、ドローンの失敗だ」と語り、「それにもかかわらず損害が極めて少ないとみられている。最終的な評価が得られまで祈るしかないが、死者が少ない、またはなかったとすれば、神に感謝する」と述べた。

タイムズ・オブ・オスラエルによると、イスラエル軍の報道官は13日の夜から翌日にかけてイランのミサイルとドローンあわせて約350発が発射され、爆発物の重量は合計60トンに上ると評価を示した。「イランの計画は失敗に終わった」と述べ、「数百発のうち、イスラエルのテリトリーに入ったのはわずか数発で、軍事基地に軽い損害を与えたにすぎない」とした。

ボルトン氏はまた、イスラエルの報復は「均衡であるべきではない」と主張。抑止の確立のために攻撃はイランよりも「はるかに強力」であるべきだとした。攻撃によって得ようとするものよりも損害が上回ることを敵国に教えなければならないと語った。

CNNによると、バイデン大統領と国家安全保障当局者らは、戦争が拡大するリスクを回避するため、イスラエル側に対して、米国はイランへの攻撃行動に加わらないと伝えたとされる。また、バイデン大統領はネタニヤフ首相との電話会談で、イランの攻撃がほとんど成功せず、イスラエルは軍事優位性を示したことから、13日はイスラエルの勝利と考えるべきだと話したという。

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ボルトン氏は14日朝のCNNの番組にも出演し、バイデン政権の姿勢を批判した

「この政権が戦争の拡大を恐れているのは、米国内のガソリン価格を心配し、民主党の左派を気にかけているからだ」と主張。政権は認めたがらないとしつつ、イスラエルは10月7日からすでに広範な戦争に突入しているとも述べ、ガザのハマス、紅海で船舶への攻撃を繰り返すフーシ派、イスラエル北部を攻撃するヒズボラ、イラクとシリアのシーア派武装組織、そして今回のイランを合わせて、同時に5つの戦場があるとした。

抑止の確立には、敵国に「得られると考える利益よりも、代償がはるかに高くつくこと」を教えることだと改めて述べ、攻撃対象については、「イランの防空能力を破壊することからはじめる。次に正規軍と革命防衛隊の本部を狙うこともできる。石油インフラ、油田、パイプライン、輸出港湾施設を狙うことも検討できる。そして最も重要なのは、イスラエルは、存続の脅威であるイランの核兵器プログラムを破壊する機会として捉えるべきだ」と語った。

さらに「一部の報道にあるように、ジョー・バイデンがイスラエルに報復しないよう訴えているのであれば、アメリカ合衆国にとって恥ずべきことだ」と非難。「イランは国際平和と地域の安全にとって主たる脅威であり、彼らが及ぼす脅威をイスラエルとアラブ諸国、われわれを救うために最小限に押さえ込むことは、アメリカの利益にかなう」と続けた。