「安倍元首相の暗殺、銃のない日本のイメージを打ち砕いた」米有力紙

214

8日、安倍晋三元首相が選挙演説中に銃撃され、死亡したことに関し、ニューヨークタイムズは、銃が禁止されている日本のイメージを「打ち砕いた」と題した記事を掲載した

銃に関する厳格な法律が定められている日本では、銃暴力に関する事件は「ほとんど前例がなく」、今回の事件は「非常にまれ」だと説明。米国で民間人が所有する銃の数は、推定4億丁である一方、日本で所持が許可された銃の数は19.2万丁(大半は拳銃と狩猟用ライフル)だと違いを述べ、日本の昨年の銃関連の死者は、わずか1人だったと指摘した。

また日本の政治場面についても、「物静か」で「荒れる」ことはめったになく、政治集会でも警備は軽く、トップクラスの指導者と有権者が触れ合う機会が多いと説明。銃撃が起きた演説集会でも、容疑者が妨害されることなく、安倍氏の周辺を歩き回った挙句、手製の銃を発砲したと状況を伝えた。

日本人は日常生活で銃に遭遇する機会はめったになく、「米国でおなじみの儀式となったような、銃暴力に対する感情的かつ政治的な影響は、ほとんど味わったことがなかった」と日本社会にとっての衝撃の大きさを示唆した。

日本政治の専門家でコロンビア大学の政治学名誉教授ジェラルド・L・カーティス氏はタイムズのメールインタビューで、今回の事件は「日本人を激しく揺さぶるのは間違いない」と述べ、「日本はもはや、第二次世界対戦後から続いてきたような、安全で平和な国ではない」と主張。「直面する新たな恐ろしい現実に対処するため、変化しなければならない」と述べ、問題は、日本の政治指導者がどのように対応するかだと語った。

Advertisement