カリフォルニア州 トランプ氏含む大統領予備選候補者に納税申告書の開示義務付け

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カリフォルニア州のギャビン・ニューサム(Gavin Newsom)知事は30日、同州で実施する大統領選予備選に関し、氏名を投票用紙に表示する条件として、すべての候補者に納税申告書の開示を義務づける法案に署名した。同様の法案は2年前、ジェリー・ブラウン(Jerry Brown)前州知事の時代に、一度廃案となっていた。

ニューサム知事は声明で「世界最大規模の経済圏であり、市民の9分の1が投票権を有する州として、カリフォルニアは大統領候補者と知事候補者に対して公開を要求する特別な義務がある」と述べた。また「今は異常な時代であり、州は、最高権力を目指す指導者が最低限の基準を満たしていることを確かなものとし、公衆の自信を回復するための法的かつ道徳的義務を有する。この法による公開要求は、利益相反、自己取引、国内外における事業の利害による影響を明らかなものとするだろう」と語った。

カリフォルニアの新法は明らかに、トランプ大統領の納税申告書の開示を主な目的としている。

トランプ氏は、前回の大統領選期間中に開示の意向を示したが、国税庁による監査中であることを理由に、現在も公開していない。申告書を公開しないのは、主要政党の候補者としては1976年以来だという。

新法によって、大統領選と知事選の候補者は、予備選の98日前までに過去5年分の申告書を州務長官に提出することが義務付けられる。申告書は個人情報などを伏せ、オンラインで公開される。なお、本選挙には適用されない。

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カリフォルニア州の動きに対し、トランプ陣営は憲法違反であると反論。選挙広報責任者、ティム・マーター(Tim Murtaugh)氏は、「憲法における大統領職の就任要件は明確で、州は要件を追加することはできない」と声明を発表した。

ABCによると、憲法における大統領選の候補者要件は、35歳以上、米国生まれ、14年間以上国内で生活していることなど、限定されたものにとどまる。

仮に新法が裁判で認められたとしても、トランプ大統領はカリフォルニア州で予備選を争わないという選択を取ることも可能だという。

共和党全国委員会は、大統領選候補者に対して、すべての州の予備選における投票用紙への記載を義務付けていない。また現時点で強力な対抗馬がいないトランプ氏は、予備選を勝ち抜く上でカリフォルニア州の指名を必要としない可能性も高い。

大統領選挙の候補者に関して所得情報の公開を法制化するのは、カリフォルニア州がはじめてだという。ニューヨーク州では5月、トランプ大統領が州に提出した納税申告書に関し、連邦議会への開示を可能とする法案を上下両院で可決した。法案は今月、アンドリュー・クオモ州知事の署名により成立したが、トランプ氏との間で、同法を巡る訴訟に発展している。