米原子力関連大手BWX Technologies(BWXT)は11月2日(米東部時間)の取引終了後、2026年7〜9月期(Q3)決算を発表した。売上高は前年同期比10%増の9.53億ドル(約1,506億円、1ドル158円換算)で、Investing.com集計による市場予想9.70億ドルを約2%下回った。一方、非GAAPの1株利益(EPS)は1.26ドルで、予想の1.18ドルを上回った。利益を押し上げたのは政府部門で、調整後EBITDAマージンが前年同期の19.2%から22.6%に上昇した。2026年の売上高見通し約38億ドルは据え置いたが、時間外取引では株価が一時3%超下落した。
| 項目 | Q3 2026 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 9.53億ドル | +10%(既存事業ベースで+7%) |
| 政府部門売上 | 6.39億ドル | +4% |
| 民間部門売上 | 3.14億ドル | +25%(既存事業ベースで+15%) |
| 非GAAP EPS | 1.26ドル | +26% |
| GAAP EPS | 1.11ドル | +25% |
| 調整後EBITDA | 1.80億ドル(利益率18.9%) | +19% |
| フリーキャッシュフロー | 1.51億ドル | +59% |
| 受注残 | 85.6億ドル | +16% |
何が伸びたか
売上の約3分の2を占める政府部門は4%増だった。海軍向け原子力推進は資材調達の減少で減収となった一方、防衛用燃料の濃縮や高純度劣化ウラン(HPDU)などを含む特殊材料と、先進原子力が成長を支えた。同部門の調整後EBITDAは22%増の1.44億ドルと、売上の伸びを大きく上回った。
民間部門は25%増だった。商用原子炉向けの部品・サービスや医療関連事業が伸び、7月に買収した重工業・原子力部品メーカーのPrecision Components Group(PCG)も寄与した。既存事業ベースでは15%増であり、買収効果を除いても二桁成長だった。
一方、Q3の受注高は5.38億ドルと、前年同期の22.45億ドルから大幅に減少した。前年同期は政府部門だけで20億ドル超の大型受注があり、高基数だったことが主因だ。それでも受注残は前年同期比16%増の85.6億ドルと高水準を維持しており、直近四半期売上の約2.2年分に相当する。
見通し
2026年通期の売上高見通しは約38億ドルで据え置いた。非GAAP EPSは従来の4.70〜4.80ドルから4.72〜4.77ドルへ、フリーキャッシュフローは3.5億〜3.6億ドルへと予想レンジを絞り込んだ。
2027年の暫定見通しでは、売上高は1桁台後半の増収、調整後EBITDAと非GAAP EPSは1桁台後半から10%台前半の増加を見込む。
- 政府部門:海軍推進、特殊材料、先進原子力が牽引し、1桁台後半〜10%台前半の増収を見込む。
- 民間部門:1桁台前半の増収にとどまる。8月に合意した医療事業のNordic Capitalへの売却(最大8億ドル)が2026年末に完了し、その分の売上が抜ける前提だ。
マイクロ炉の現在地
BWXTは、米陸軍が基地向けマイクロ原子炉を調達する「ヤヌス計画」で選ばれた5社の1社だ(関連記事:米陸軍、「マイクロ原子炉」5社を選定──22億ドル契約が開く商用化の入口)。5社のうち単独で上場しているのはBWXTだけだ(WestinghouseはCamecoとBrookfieldが共同保有)。フォート・キャンベルに設置する予定の「BANR」は2028年後半の着工、2030年代前半の運転開始を目指しており、業績への本格的な寄与はまだ先だ。
直近では、マイクロ炉事業をめぐる二つの進展があった。
- 10月5日:カナダのProdigy Clean Energyと2つの先住民族コミュニティが、ニューブランズウィック州ベルドゥーンに計画する可搬型原子力発電所(最大50MWe)にBANR 2基を採用すると発表した。正式契約はまだ協議中だが、翌日の株価は約7.7%急騰した。
- 10月27日:ヤヌス計画の選定企業であるAntares Nuclearと、TRISO燃料の複数年供給契約を結んだ。当初の割当はウラン1トンで、契約金額は非開示。ペール計画向け燃料と同じ製造ラインで生産する。
What’s Next
原子力関連の決算は、Okloが11月6日(米東部時間)午前8時30分に、X-energyが会社発表待ちの日程で続く。BWXT自身については、2026年末の医療事業売却完了と、2027年通期ガイダンスの正式発表が次の注目点となる。




