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SpaceX(SPCX)決算はいつ?日本時間10月21日早朝、株価10%安で迎える5つの論点

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rocket and stock chart
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米スペースX(SpaceX、SPCX)は、2026年7〜9月期(Q3)の決算を米国時間10月20日(火)の取引終了後に発表する。日本時間では10月21日(水)早朝だ。株価は決算を前に週間で約10%下落し、Nasdaq総合指数(−4.5%)を大きく下回った。

ポイント

  • いつ:米国時間10月20日(火)の引け後に発表。電話会見(音声配信)は日本時間10月21日(水)午前5時30分から。
  • 株価:10月16日の終値は146.03ドル。週間で−10.2%、4営業日続落。
  • 前回(4〜6月期):売上高は前年同期比92%増の78.14億ドル。純損失は5.41億ドル。
  • 論点:①年換算売上1,000億ドル目標の進捗、②AI事業の採算、③設備投資と資金繰り、④Starlinkとモバイル事業、⑤Cursor買収の初の連結。
  • 翌日:イーロン・マスク(Elon Musk)氏が率いるもう1社、テスラが決算を発表する。

SpaceXの決算はいつ?

SpaceXの発表によると、決算は米国時間10月20日の取引終了後に公表し、同日午後4時30分(米東部時間)から経営陣が音声のみの電話会見を開く。

項目米東部時間日本時間
決算発表10月20日(火)引け後(午後4時以降)10月21日(水)午前5時以降
電話会見10月20日(火)午後4時30分10月21日(水)午前5時30分

会見はSpaceXの投資家向けサイト(ir.spacex.com)と、X(旧Twitter)の公式アカウント@SpaceXで配信される。投資家は事前に質問を投稿でき、経営陣がその場で答える可能性がある。

株価:決算前の1週間で約10%安

SPCXの10月16日終値は146.03ドルだった。前週末(10月9日)の162.57ドルから10.2%下落し、10月13日から4営業日連続で下げた。同じ週のNasdaq総合指数は4.5%安、S&P500は1.9%安であり、SPCXの下げ幅は両指数を大きく上回った。

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10月の高値(10月6日終値171.92ドル)と比べると15.1%安い。それでも、6月の新規株式公開(IPO)価格の135ドルはなお8.2%上回っている。

背景には、AI関連株全体の調整がある。10月16日は半導体株が大きく売られ、S&P500とNasdaqはともに6月以来最悪の週となった。SpaceXは売上の約3分の1をAI事業が占めており、こうした地合いの影響を受けやすい。

米金融誌バロンズは、SPCXが4.2%下げた10月13日について、ブロードコム(Broadcom)のホック・タン(Hock Tan)CEOがAIの購入者に関して発した発言や、利益確定売りが重荷になった可能性を指摘している。

前回(4〜6月期)のおさらい

上場後初めてとなった前回の決算では、売上高が前年同期比92%増の78.14億ドルに伸びた。一方で、最終損益は5.41億ドルの赤字だった(SpaceX Q2決算発表)。

事業部門売上高前年同期比営業損益設備投資
Connectivity(Starlink)42.91億ドル+66%+16.56億ドル13.67億ドル
AI(Grok、X、演算サービス)25.61億ドル+247%−12.57億ドル158.28億ドル
Space(ロケット打ち上げ)9.62億ドル+29%−5.42億ドル11.74億ドル
合計78.14億ドル+92%−1.43億ドル183.69億ドル

稼ぎ頭はStarlinkで、3部門のうち唯一の黒字だった。AI部門は売上が3.5倍に急増したものの、設備投資の大半を占め、営業損益は赤字が続いている。期末の現預金と有価証券の合計は約1,000億ドル、受注残高は475億ドルだった。

決算で注目すべき5つの論点

① 12月に「年換算売上1,000億ドル超」へ届くか

SpaceXは前回の電話会見で、2026年12月の売上を年換算した売上高(年間換算ランレート)が1,000億ドル超に達するとの見通しを示した。最高財務責任者(CFO)のブレット・ジョンセン(Bret Johnsen)氏は、この数字には買収したCursorの寄与も含まれると説明した。マスク氏は、何もしなくても達成できる水準であり、上回る可能性が高いとまで述べている。

ちなみに、4〜6月期の売上78.14億ドルを単純に4倍した年換算水準は約313億ドルであり、1,000億ドル超との差は約3.2倍ある。ただし年間換算ランレートは12月単月の売上ペースを見る指標のため、Q3・Q4にAI計算サービス、Starlink、Cursorの売上を急速に積み上げれば、四半期平均が3倍の水準にならなくとも到達する可能性はある。

差を埋める柱は、AI部門のデータセンターの計算能力を他社に貸し出す事業だ。4〜6月期に結んだ契約は総額141億ドルにのぼり、この区分の売上は前期の4.75億ドルから21.94億ドルへ急増した。7月の最初の数週間でも、10月から6カ月かけて売上計上が始まる67億ドル分の契約を追加している。9月には、12月1日に始まる月11.1億ドル(年換算で約130億ドル)の新規契約も明らかにした。12月の売上を基準にする目標に直結する契約だ。今回の決算では、目標を維持するのか、新たな大型契約が発表されるのかが焦点になる。

② AI事業は「稼げる事業」に転換するか

AI部門は4〜6月期に、利払いや減価償却などを差し引く前の利益(調整後EBITDA)で初めて黒字(11.46億ドル)になった。ただ、減価償却費を含む営業損益では12.57億ドルの赤字が残る。黒字の幅が広がるか、営業赤字が縮むかが見どころだ。データセンターの計算能力は6月末で1.4ギガワット(GW)で、会社は年末に2GW超を計画し、マスク氏は2027年末に10GW近くになるとの見方を示した。2027年には、宇宙空間でAIの計算を行う衛星群「Starmind」の打ち上げも始める計画だ。[関連記事 :「Starship1回で10億ドル、2030年に10兆ドル」――キャシー・ウッドが描く宇宙投資の青写真]

③ 膨らむ設備投資と資金繰り

4〜6月期の設備投資は183.69億ドルで、その86%をAI部門が占めた。1〜6月の累計では、本業で稼いだ現金(営業キャッシュフロー)34.66億ドルに対し、投資に344.87億ドルを使っている。手元資金はIPOでの調達(約857億ドル)と6月の社債発行(250億ドル)で厚いが、現金流出の規模も大きい。

ジョンセンCFOは前回、7〜9月期と10〜12月期の設備投資は4〜6月期とほぼ同じ水準になるとの見通しを示した。Q2実績を基準にすれば、Q3・Q4も各180億ドル前後が目安となる。同氏は、AI演算設備への投資は1年以内に回収できているとも説明しており、今回この見方を維持できるかが注目される。

今後はさらに大型の投資が控える。SpaceXは8月、ルイジアナ州に新たな発射拠点「Starbase Louisiana」を1,000億ドルで建設すると発表した。2027年に着工し、2029年の初打ち上げを目指す。2027年以降の投資計画を会社がどう説明するかは、株価に直結しやすい。

④ Starlinkは稼ぎ続けられるか、モバイル参入は本気か

Starlinkの契約者は6月末で1,200万人と前年から倍増し、前期からも170万人増えた。一方、1契約あたりの月間売上(ARPU)は66ドルで、前年同期の85ドルから下がっている。ジョンセンCFOは、新たな国・地域への展開に伴い平均単価は今後も下がりうると説明している。一方でマスク氏は、次世代のV3衛星は性能が従来の約10倍で、打ち上げる数も約10倍になると強調した。通信量あたりの単価が10分の1に下がっても、Starlinkの売上は10倍になりうるという主張だ。まずは単価の下落を契約者の伸びで補えているかが、注目点になる。

もう一つの焦点が、携帯電話サービスへの参入だ。SpaceXは10月8日、投資会社Grain Managementの関連会社が持つ800MHz帯の全国免許(最大14MHz幅のペア帯域)を取得する契約を結んだと発表した。取得額は公表されていないが、約80億ドルと報じられている。低周波数帯は電波が遠くまで届き、壁などの障害物も通り抜けやすい。会社は、建物の中まで電波を届ける「カバレッジ層」になると説明し、Starlink Mobileを米国の主要な携帯会社にする道が開けるとしている。取得にはFCCの承認が要る。市場は「第4の携帯会社」の誕生を意識し、AT&Tなど通信大手3社の株価が急落した。

ただ、アナリストの多くは、当面は大手を脅かす存在にはならないとみる。理由は3つある。

  1. 電波が弱い:衛星は上空約350kmにあり、1〜2km先の基地局と比べて電波が大きく弱まる。屋内や都市部で大手と同じ品質を出すのは難しい(モフェットナサンソンのジュリー・ジュー(Julie Zhu)氏)。
  2. 周波数が足りない:周波数はデータを運ぶ「道路の幅」にあたる。SpaceXの保有は取得後でも約80MHzで、T-モバイル1社だけでその約5倍を持つ(T-モバイルのジョン・ソー(John Saw)最高技術責任者)。
  3. お金がかかる:衛星・周波数・地上設備をすべて自前で揃えると1,000億ドルを超えうる(スティフェルのジョナサン・シーグマン(Jonathan Siegmann)氏)。発射拠点やAI設備にも巨額の投資が要るなかで、採算の見えないモバイルを優先する理由は乏しい(ジュー氏)。

大手から回線を借りる提携という道もある。だがジュー氏は、大手にとって新たな競合を招き入れる利点は小さく、実現しにくいとみる。

会社側の答えは、地上の設備を安く作る構想だ。前回の会見では、家庭の屋根にあるStarlinkアンテナに小型の基地局を併設し、必要な場所から順に網を広げる案を示した。ただし、必要な投資額は明かさなかった。モバイル専用の次世代衛星は2027年に打ち上げを始め、同年末のサービス開始を目指す。10月上旬には、FCCがこの次世代衛星1万5,000基の打ち上げを認可した。今回の決算で、地上網への投資額や大手との交渉に触れるかが注目される。

⑤ Cursor買収が初めて数字に表れる

SpaceXは8月14日、AIを使ったプログラミング支援ツールを手がけるCursor(運営会社Anysphere)の買収を完了した。評価額は600億ドルで、対価はすべて株式。SpaceXはCursorの株主に約3億8,929万株を交付した。発行済み株式の約3%にあたる。

7〜9月期は、Cursorを取り込んだ最初の四半期になる。どれだけ売上に上乗せされるか、のれん(買収額のうち資産の価値を上回る部分)がいくらになるかが見どころだ。株式数が増えるため、1株あたり利益の比較には注意が要る。

翌日はテスラの決算、その先にスターシップ

SpaceXの翌日には、同じくマスク氏が率いるテスラ(Tesla、TSLA)が7〜9月期の決算を発表する。米国時間10月21日(水)の引け後に公表し、午後5時30分(米東部時間)から質疑応答の配信を行う。日本時間では10月22日(木)午前6時30分からだ。2日続けて、マスク氏の発言が市場の材料になる。

決算の後も材料は続く。マスク氏は10月10日、大型宇宙船「スターシップ」の15回目の試験飛行を感謝祭(11月26日)の少し前に行い、上段の宇宙船「シップ」を発射塔で受け止める回収に初めて挑むと述べた。モルガン・スタンレーのアダム・ジョナス(Adam Jonas)氏は、成功すれば上場以来最大の好材料になりうると指摘している。

もう一つは株式の需給だ。上場前からの株主に課された売却制限(ロックアップ)は段階的に解けており、目論見書によると、7〜9月期の決算発表の2営業日後に最大13億株の解除が予定されている。これまでの1回あたり(約3.3億株)の約4倍で、IPOで売り出された約6.4億株の約2倍にあたる。12月8日にも最大約8億株が続く。ただ、最大規模だった8月6日の解除では株価はむしろ上昇しており、解除がそのまま下落につながるとは限らない。