23日、JDバンス副大統領が、MAGA運動内部で影響力を持つ極右活動家、ローラ・ルーマーを名指しで批判し、トランプ支持陣営内の亀裂が改めて浮き彫りになった。
バンスはX上で、ルーマーの投稿を引用し、次のように非難した。
「大統領は今日、March for Life(いのちのための行進)にビデオメッセージを送り、私にも参加を勧めてくれた。私は喜んでそれに応じた。
一部の『保守派インフルエンサー』が、政権を攻撃し分断を煽ることに時間を費やしているのは興味深い。実に恥ずべきことだ」
ルーマーはオリジナルの投稿で、共和党が中絶問題を中間選挙の主要争点に据えていることに強い不満を示し、トランプ自身もこれを嫌っていると主張。こうした戦略は選挙の大敗につながると警告していた。
この投稿は、首都ワシントンで23日に開催された反中絶デモ「March for Life」で、バンスが演説を行った直後に出されたものだった。
ルーマーは、自らをトランプ政策の「忠実な執行官」と位置づけ、オンライン上の影響力を使って、反トランプ的と見なした政権スタッフや政府関係者に対するネガティブキャンペーンを繰り返してきた。
昨年4月、トランプが国家安全保障会議(NSC)の職員6人を突然解雇した際も、その直前にルーマーがホワイトハウスを訪れ、「不誠実」と考える人物のリストを提示したと報じられている。
直近では、FOXニュース元司会者で、トランプ支持層に強い影響力を持つタッカー・カールソンを標的にしている。
今月9日、カールソンがホワイトハウスで開かれたベネズエラの石油事業再建をめぐる石油会社幹部の会合に招かれたことを受け、ルーマーは「とんでもない判断だ」とホワイトハウスを非難。その後、この招待がバンスによるものだと判明すると、配信番組内でバンスを名指しし、次期大統領を目指す人物として「道徳基準」を示すべきだと主張した。
ルーマーは番組内で、「カタールの常軌を逸した代弁者との友情か、それともアメリカ合衆国大統領になることか、どちらを重視するのか決めなければならない」と迫った。
カールソンは明確なトランプ支持者でありながら、政権の外交政策、とりわけイスラエルとの関係やイランへの軍事行動に批判的な立場を取っている。ベネズエラへの軍事介入にも一貫して懐疑的で、侵攻や戦争には否定的な見解を示してきた。
また、昨年10月に自身のポッドキャストで、白人至上主義者・ホロコースト否定論者として知られるニック・フエンテスにインタビューしたことは、ルーマーをはじめとする親イスラエル系インフルエンサーとの対立を決定的なものにした。
今回、バンスから「恥ずべきだ」と公然とたしなめられたルーマーは、即座に反発した。
「選挙でどちらが正しいかわかるだろう」とした上で、「いつになったらカールソンに、トランプ大統領によるマドゥロ大統領への襲撃や、イランの核施設への爆撃決定を批判するのをやめるよう伝えるおつもりか」と反論。さらに次のように続けた。
「@JDVance、あなたを助け、支えてきた者として、敬意を込めて言う。あなたには、親しい『保守派のインフルエンサー』による真の分断を指摘し、道徳的な明晰さを示す機会が何度もあった。しかし、あなたがその問題に触れるのを一度も見たことがない」
ルーマーとカールソンの対立は、トランプ支持で結びついてきた“MAGA連合”に生じた亀裂の象徴的な例だ。トランプの後継者として最有力視されるバンスが、この内部対立にどう向き合うのかは、今後の権力構図を占う上で重要なポイントとなる。
バンスは先月、アリゾナ州で開かれたターニング・ポイントUSAの会合で、MAGA支持者同士が排除し合う『純度テスト』を行うべきではない」と述べ、右派のいずれの派閥も切り捨てない姿勢を示していた。今回の「恥ずべきだ」発言は、その姿勢を改めて強調するものであると同時に、バンス陣営がルーマーのような過激な忠誠論者の影響力を警戒し始めている現状を示している。



