<今日のフレーズ>
to no avail:効果がない、不成功に終わる、うまく行かない
<イン・ザ・ニュース>
2024年大統領選で勝利したトランプ前大統領は、政権スタートに向けて中国に高関税をかける計画を示しました。その理由の一つとして、米国に流される麻薬の問題をめぐる中国側の対応を非難しました。
“I have had many talks with China about the massive amounts of drugs, in particular Fentanyl, being sent into the United States — But to no avail”
「私は中国側と米国に密輸される大量の麻薬、とりわけフェンタニルについて話をしてきた。しかし、無駄だった」。
<解説>
フェンタニルは合成オピオイドの一種で、ヘロインよりもはるかに強力とされる。米国ではフェンタニルのオーバードーズによる被害が増加の一途をたどっている。米疾病対策センター(CDC)によると、フェンタニルの薬物過剰摂取による死者は、2016年の10万人あたり5.7人から、2021年には10万人あたり21.6人に増加した。
米国麻薬取締局は、中国が「主な供給源」であると述べていて、その多くはメキシコの麻薬カルテルを経由して国内に持ち込まれている。中国の麻薬密売人や輸出業者は、未完成の違法物質をメキシコに送り、そこでフェンタニルに変えて米国に送っているのだという。
中国は2019年にあらゆる形態のフェンタニルを麻薬として正式に規制し、習近平国家主席がG20で表明した公約を果たした。フェンタニル製造地域の調査やインターネット サイトの厳格な取り締まり、特別捜査チームの設置といった対策が含まれ、中国産の密売が厳しく制限される効果が期待されている。ただし、近年はインドが原料などの供給源として台頭しており、米国はより広範で複雑な対策を余儀なくされている。