土曜日, 3月 21, 2026
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イスラエルドナーに防衛テックーートランプ・高市夕食会に見る「日米の接続点」の変化

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19日、日米首脳会談に続いてホワイトハウスで開催された夕食会。その顔ぶれをめぐり、SNSで違和感を指摘する声が広がった。

「文字通り米国の政治家を買収するイスラエル優先の大物ドナー、ミリアム・アデルソンが日本首相とのホワイトハウス夕食会に招待されていた。Palantir CEOのアレックス・カープも前列の席。戦争で利益を得る者とロビイストが称えられている。これが米国を動かしている人々だ」@OunkaOnX


「ホワイトハウスが日本首相との夕食会のゲストリストを共有した。3番目の名前はアンディ・アボウド、4番目はミリアム・アデルソン」@HibaNasr

アボウドは共和党ロビイスト・政治顧問。アデルソンは、カジノ王として知られた故シェルドン・アデルソンの妻で、強力なイスラエル支持者だ。トランプの最大級の献金者の一人でもあり、昨年の選挙戦ではトランプ支持のスーパーPAC「Preserve America」に約1億600万ドルを拠出したとされる。

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一連の投稿はトランプ周辺の政治的・経済的影響力の変化を読もうとするものだ。ただし、大口献金者が外国首脳の食事会に招かれること自体は異例ではない。2024年4月のバイデン・岸田晩餐会にも、フレッド・アイキャナーやマイケル・サックスら民主党の上位ドナーが列席していた。また、読売新聞特派員によってプールリポートとしてシェアされたリストの順番は過去の慣例に従い概ねアルファベット順で、Aで始まるアボウドとアデルソンが日米首脳の次に並ぶのは構造的なものにすぎない。優先順位を表しているとは言い難い。

より注目すべきは、財界の顔ぶれの変化だ。

バイデン・岸田晩餐会にはいなかった防衛テック・防衛産業から、カープ(Palantir CEO)、シャンカル(Palantir CTO)、ラッキー(Anduril創業者)、タイクレット(Lockheed Martin CEO)、オートバーグ(Boeing CEO)、ロザンスキ(Booz Allen CEO)の6名が顔を揃えた。

席次にも興味深い構図が見える。TIME誌記者によるプールレポートによれば、トランプと高市首相が着いたテーブルにはピチャイ(Google CEO)とルビオ国務長官が同席していた。ホワイトハウス公開映像ではラリー・フィンク(BlackRock CEO)の着席も確認できる。一方、カープ(Palantir CEO)はベッセント財務長官、リッシュ上院議員(元外交委員長)と同じテーブルについた。

Palantirをめぐっては、今回出席しなかったものの、共同創設者でペイパルマフィアの一人、ピーター・ティールが今月初め、首相官邸で高市首相に表敬訪問を行っている。ティール自身は夕食会には出席していないが、その14日後に同社のCEOとCTOが首脳の席に連なった。

ビッグテックからはピチャイのほか、ブロックマン(OpenAI)、クリシュナ(IBM)ほか計6名。半導体ではメロトラ(Micron)、アモン(Qualcomm)、タン(Broadcom)、ゴエックラー(Sandisc)が名を連ねた。メロトラは2024年の岸田晩餐会にも出席しており、日米の半導体連携における定番の顔といえる。金融大手からはラリー・フィンク(BlackRock)が前回に続いて出席したほか、テッド・ピック(Morgan Stanley)、マイケル・ミーバック(Mastercard)ら計4名。

対照的に、メディア・有識者の姿はほぼ消えた。バイデン・岸田晩餐会には米側からエレン・中島(ワシントン・ポスト)、ジョシュ・ローギン(ワシントン・ポスト)、オドネル(NBC)、日本側から船橋洋一(安全保障専門家)、翁百合(日本総合研究所理事長)らの名があった。今回は該当する出席者が見当たらない。

高市首相の訪問は岸田氏と異なり国賓の位置付けではない。ただし、今回の夕食会は規模・ゲスト構成の両面で、トランプ就任後の外交の場として際立っている。昨年7月のネタニヤフ首相訪問時は閣僚と大使のみが同席した少人数の夕食だったとされる。一部では「トランプ政権として外国ゲストへの異例の待遇」とも報じられている。

防衛テック・半導体・AIという顔ぶれは、昨年日米が合意した5500億ドルの対米投資パッケージの主要対象分野と重なる。招待者はトランプの個人的なつながりや、イラン戦の最中という状況にも左右されるだろう。それを差し引いてもなお、防衛とテクノロジーの企業群が際立つ陣容は、防衛予算の拡大と地政学的重要性、強固な日米同盟の呼び聲を背景に、日本が「どんな市場として睨まれているか」、そして市場へアクセスするプレイヤーの変化を静かに物語っている。

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