「トランプ政権はすでにレームダック」――元側近が分析

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noamgalai/shutterstock

「トランプはすでにレームダックに入った」。トランプ政権一期目で一時的に大統領報道官を務めたアンソニー・スカラムーチが、ポッドキャスト番組でこう断言した。

「レーム・ダック(Lame Duck)」とは、任期末期に政治的求心力を失い、事実上の影響力を喪失した指導者を指す言葉だが、スカラムーチは「いまのトランプ政権がまさにその状態に入った」と分析する。

スカラムーチは英国人ジャーナリスト、キャディ・ケイトと共同司会を務める番組「The Rest Is Politics US」に出演し、レームダック化の背景として複数の要因を挙げた。
「まず第一に、共和党議員の多くが彼と決別し始めた。第二に、彼はかつてより強い批判にさらされている」と議会掌握力の低下を指摘。さらに寄付者コミュニティ内でも同様の変化が起きているとし、ヘッジファンド関係者らの間では『もうこの男とは終わりだ』という声が漏れてきていると述べた。

こうした失望や怒りの根底には、スカラムーチいわく、トランプの「とんでもない経済政策」と、就任直前に発行した仮想通貨で「8億ドル以上の私腹を肥やした」とされる一連の行為があるという。彼はこれを「紛れもない詐欺行為」と表現し、法整備を目指していた仮想通貨業界に「深刻な打撃を与えている」と非難した。

支持率の下落も顕著だ。スカラムーチは「現在、支持率は37%を下回っている」と述べ、クロス集計でも厳しい数字が出ていると指摘。とくにヒスパニック系成人の支持率は「6ヶ月前の44%から25%へと急落した」とし、トランプの政治基盤が大きく崩れつつあることを示唆した。

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一方トランプは、ホワイトハウスで富豪や中東の皇太子を招いた晩餐会を開くなど、「誇示的で、極端に男性的な自信に満ちた」振る舞いを続けている。しかしスカラムーチは「データは表面的な強気をはるかに上回る深刻な亀裂を示している」と述べ、年明けにはトランプ批判や政策阻止の動きがさらに加速し、「ポスト・トランプ」をめぐる主導権争いと寄付者獲得競争が本格化すると予測した。

先週の議会におけるジェフリー・エプスタイン資料公開法案の成立劇は、トランプの影響力の低下を象徴するものとして取り沙汰されている。この法案審議は当初トランプが反対していたにもかかわらず、下院では427対1で可決され、上院でも全会一致で通過した。離反を抑えきれないと悟ったトランプは、投票直前になって慌ててSNS上で共和党議員に賛成票を投じるよう呼びかけざるを得なかった。

世論調査の集計結果も悪化が止まらない。リアルクリアポリティクスによる主要調査の平均で、トランプの純支持率は5月にマイナス圏に転じた後、10月中旬から下落が急速に進み、現在は –13.2ポイント を記録。比較的トランプに好意的とされる Rasmussen Reports(–4ポイント)、FOXニュース(–17ポイント)でも軒並み数値が悪化しており、政権の求心力は確実に失われつつある。