グリーンランド獲得構想をめぐり、反対するEU諸国に追加関税を科す計画を発表するなど、トランプ政権は強硬姿勢を強めている。こうした動きに対し、トランプ支持層であるMAGA陣営の内部からも、批判の声が上がっている。
保守派の論客ベン・シャピーロは19日に公開した動画で、グリーンランドをめぐる一連の動きを「笑っていられない問題だ」と述べ、政権の対応に警鐘を鳴らした。
シャピーロは、「もしコストを抑えたいのなら、なぜより多くのコストを背負い込むのか。グリーンランドをアメリカが直接統治する方が、デンマークに任せておくよりはるかに高くつく」と指摘。「国民は、大統領がグリーンランドを欲しがっているという理由で、スーパーでの食料品価格が上がることなど望んでいない」と語り、国内の物価上昇につながる可能性に強い懸念を示した。
またシャピーロは、「アメリカは1951年の条約に基づき、必要であればグリーンランドでの軍事プレゼンスを大幅に増強する権利をすでに持っている」と強調。「所有」に踏み込む必要性について、経済面のみならず制度面からも疑問を呈した。
一方、政権側は所有の必要性を強調している。スコット・ベッセント財務長官は18日のテレビインタビューで、「国家安全保障を外注しない。半球の安全保障も他国に委ねない」と述べ、グリーンランドを自国の管理下に置く意義を訴えた。
この発言を受け、シャピーロは「軍事プレゼンスを増やすのではなく、『所有』しなければならないほどの核心的な国家安全保障上の利益だという主張は奇妙だ」と批判した。
さらにシャピーロは、政権の外交政策全般に言及。「普段なら笑い飛ばすところだが、実際に起きているのは、アメリカが敵だけでなく同盟国に対しても攻撃的な姿勢を取り、その結果、世界全体が戦略の再調整を迫られているということだ」と述べ、自国の利益を損なうリスクを指摘した。
具体例として、カナダで左派政権が誕生し、中国との関係を強めていることや、EUが南米南部共同市場(メルコスール)との自由貿易協定に署名するなど、「アメリカ抜き」の枠組みが加速している点を挙げた。
「大統領は多くの点で優れているが、時に『釘を探すハンマー』のようになることがある。叩くべき釘がない時、無関係な対象が傷つくこともある」と語り、過剰な強硬姿勢が負の”連鎖反応”をもたらしかねないと警告した。
なお、米国の予測市場Kalshiでは、米国がグリーンランドの一部を掌握する可能性について、昨年半ばには20%台半ばで推移していたが、直近では45%を超える水準まで上昇している。
