スカーレット・ヨハンソンがトランスジェンダー役降板 LGBT役が炎上

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新作映画「ラグ・アンド・タグ」(Rub & Tug)でトランスジェンダー役に抜擢されたスカーレット・ヨハンソンだが、LGBTコミュニティから多くの非難が寄せられ、役を降板すると発表した。

LGBTコミュニティから非難

ヨハンソンが演じるのは、1970年のピッツバーグで売春宿を営む犯罪者、ダンテ”テックス”ギル(Dante “Tex” Gill)で、トランスジェンダーの男性だという。
この決定に対し、LGBTコミュニティの人々から、なぜ彼女がトランスジェンダーの役を演じるのかと疑問が浮上し、多くの非難が上がった。

アマゾン製作ドラマ「トランスペアレント」(Transparent)に出演しているトランスジェンダーのトレース・リセット(Trace Lysette)は、「我々のストーリーや仕事のチャンスを盗むだけではなく、我々の生き様をまねて、賞賛やトロフィーを身にまとおうとしている」と非難。今回の配役は、業界の大きな問題を象徴していると発表している。

これに対し、スカーレット・ヨハンソンは、Bustleに、ジャレット・レトやジェフリー・タンバーなど、これまでにトランスジェンダーを演じた俳優の名前を挙げ、自身の配役に問題はないという姿勢を見せていた。

しかし高まる非難を受け、13日にOut magazineで、「ダンテを演じる機会を大変嬉しく思う一方、なぜ多くの人が、彼の人生はトランスジェンダーの人々によって描かれるべきだと思っているのかを理解しました」と役を辞退する意向を発表した。
そして「今回のキャスティングが、映画における多様性や表現に関し、大きな論議を巻き起こしたことについて、感謝している」と付け加えた。

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この発表に対し、メディアにおけるLGBTのモニターを行う団体「中傷と闘うゲイ&レズビアン同盟」(Glaad)の代表を務めるサラ・ケイト・エリス(Sarah Kate Ellis)氏は「この映画について意見を発表した人と、ヨハンソンはゲームチェンジャーだ」と決定を評価する声明を発表した。同団体の発表によると、2017年LGBTの配役は前年に比べ40%減少しており、メジャースタジオにおいては皆無だという。

配役については賛否両論

非難の声が上がる一方、これは過剰な反応であり、性別に関わらず、最適な俳優が選ばれるべきだという声もある。

ビジネスインサイダーのライター、ダニエル・グリーンバウム(Daniella Greenbaum)氏は、「社会正義を掲げる集団による、最新の犠牲者だ。」と彼女の配役を擁護する内容のコラムを掲載したが、この記事は同社のスタンダードを満たすものではないとして、現在は削除されている。

ニューヨークポストのジョン・ゴールドバーグ氏は、俳優が様々な役割を演じることで、生計を立てているのは常識の範囲と述べている。
現在は、白人がアフリカ系アメリカ人の役割を演じることはタブーとなっているように、マイノリティーの役を演じることには昔から非難はあったが、今回の件は当てはまらないとしている。

1999年には、「ボーイズ・ドント・クライ」に出演したヒラリー・スワンクがトランスジェンダー役でアカデミー賞を受賞した際、このような非難は寄せられなかったが、今やトランスジェンダーの人々は文化的な影響力を使い、彼らの果たす役割を深めていきたいと考えていると述べた。
一方で、スタジオ側が、無名のトランスジェンダーよりも、彼女のような世界的スターを起用することに関しては、特に驚くべきことではないとしている。

過去にも非難

スカーレット・ヨハンソンは、過去にも日本のアニメ「攻殻機動隊」の実写版「ゴースト・イン・ザ・シェル」(Ghost in the Shell)でアジア人役の女性を演じ、白人による「ホワイトウォッシング」だと非難を浴びた。今回の選択は、前回の件から彼女は何も学んでいないのかという意見も寄せられている。