4日のニューヨーク市長選で、民主社会主義を自認するゾーラン・マムダニ氏が勝利を収めた直後、著名なベンチャーキャピタリストのピーター・ティールが2020年に当時のFacebook(現メタ)幹部宛てに送ったとされるメールがSNS上で拡散し、注目を集めている。
ティールはこのメールの中で、若い世代が社会主義を支持する背景を理解し、企業がどのように向き合うべきかを論じている。
「ミレニアル世代の70%が社会主義に賛成していると言うとき、彼らを『愚かだ』『権利意識が強すぎる』『洗脳されている』などと単純に切り捨てるだけでは不十分だ。なぜそう考えるのかを理解しようとすべきだ」とティールは書いている。
彼によれば、巨額の学生ローンや手の届かない住宅価格といった経済的圧力が、かつて約束されていたはずの資本蓄積の道を若者たちから奪い、それが反資本主義的な感情の形成につながっているという。
「壊れた世代間契約という観点から見れば、答えは比較的明快だ。学生ローンが多すぎたり、住宅が高すぎて手に入らなかったりすれば、人は長期にわたって“マイナスの資本”を抱えることになる。不動産という形で資本を蓄積することも難しくなり、資本主義の中に自分の持分がなければ、そのシステムに敵対するようになるのは自然なことかもしれない」と続けている。
このメールをSNSに投稿したのは、元Facebook幹部で投資家のチャマス・パリハピティヤ氏だ。公開されたメールの宛先には、マーク・ザッカーバーグCEOやシェリル・サンドバーグ、マーク・アンドリーセンらの名前が確認できる。
リバタリアンとして知られるティールはペイパルやパランティアの共同創業者であり、トランプ大統領の初期からの支援者でもある。2016年の大統領選では共和党全国大会でトランプ支持を呼びかけ、カリフォルニア州の選挙人名簿にも名を連ねた。また、J.D.バンスのメンターとして、彼のベンチャーキャピタル設立や上院選の勝利、さらには副大統領へと押し上げたトランプ一家との関係構築にも重要な役割を果たしている。
ワシントン・ポストは今月4日付の記事で、ティールが関与するトランプ不在後のMAGA運動を支える新たな共和党ネットワークの動きを報じた。このグループにはシリコンバレーの投資家や共和党の大口献金者らが加わっており、その思想的背景に、右派の一部が「貴族的ポピュリズム」と呼ぶ、エリートによる支配の理念があると伝えている。
