MAGA内紛に和解の兆し? エリカ・カークとオーウェンスが4.5時間直接会談

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Saku_rata160520/shutterstock

右派インフルエンサーのキャンディス・オーウェンスと、保守系団体「Turning Point USA(TPUSA)」のCEOであるエリカ・カークは15日、非公開の場で面会したことを明らかにした。MAGA陣営内部で対立が深まる中、両者の接触は注目を集めている。

オーウェンスは2017年から2019年にかけて、TPUSAでコミュニケーション・ディレクターを務めた経歴を持つ。最近は、チャーリー・カーク氏の暗殺をめぐる政府の公式説明に疑問を呈し、犯人おとり説や外国政府の関与、内部犯行の可能性を示唆するなど、物議を醸す発言を繰り返してきた。 こうした姿勢は、MAGA主流派やイスラエル支持の保守層から反発を招く一方で、一部の右派有力者や左派からの支持も集め、予想外の支持拡大につながっている。オーウェンスの影響力は拡大し、現在はYouTubeで約560万人、Xで750万人以上のフォロワーを抱えている。この急成長が、チャーリー・カーク亡き後のMAGAの進路を懸念するインフルエンサーや関係者の警戒感を強める結果となっている。

TPUSAのCEOに就任したエリカ・カークは、13日に放送されたCBS主催のタウンホールで、オーウェンスに対し発言を控えるよう呼びかけた。番組内では、10月にCBSニュース編集長に就任したバリ・ワイスが、オーウェンスは虚偽に基づく言説でビジネスを築き、巨額の利益を得ていると批判。発言を求められたエリカは、「ストップ。それがすべてだ」と短く応じた。

これに対しオーウェンスは、後に公開した動画でワイスの質問を「誘導的だ」と批判しつつも、「エリカの要請は尊重する。しかし、私が何について嘘をついたのか、具体的に示されなければならない」と反論し、姿勢を崩さなかった。

オーウェンスによると、15日に行われた面談は4時間半に及び、「生産的な話し合いだった」としている。「予想以上に多くの点で意見が一致した」「情報を共有し、互いの意図を明確にできた」と前向きな評価を投稿した。

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一部では、今回の面談をエリカ・カークによる“引き戻し”の試みと見る向きもある。TPUSAという組織の正統性を維持しつつ、影響力の拡散が制御不能になりつつあるインフルエンサーとの決定的な決裂を避けたいとの思惑が透けて見える。

過去数カ月間、右派陣営では影響力を持つ論客や政治家同士の対立が相次いで表面化している。10月には、デイリー・ワイヤー創設者のベン・シャピロが、元フォックス・ニュース司会者タッカー・カールソンが自身の番組に極右インフルエンサーのニック・フェンテス氏を出演させたことを厳しく批判した。また、過激発言で知られるマージョリー・テイラー・グリーン下院議員(共和党、ジョージア)は、ジェフリー・エプスタイン関連文書の公開や医療保険政策をめぐってトランプ批判に転じた後、来年1月に辞任すると表明している。 左派インフルエンサーの間では、こうした状況を「右派の共食い」と揶揄する声も出ており、ポスト・チャーリー・カーク、そしてポスト・トランプ時代の主導権をめぐる争いとして注目を集めている。