全国平均の2倍、NY市の失業率高止まりのワケ

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NYC ニューヨーク
©MashupReporter

ニューヨーク市の1月の失業率は7.6%で、全国平均(3.8%)の2倍だったことがわかった。

ニューヨークポスト紙によると、主要都市の中で最低水準で、全米2位の都市ロサンゼルスの7%、シカゴの5.1%を上回った。市内で最も失業率が高かったのはブロンクスで、季節調整前で11.1%。マンハッタンは5行政区の中で最低水準だったが、ブルームバーグは、労働市場を去った人々の数が反映された結果だろうと指摘している。

オフィスの復帰率の低さが、ホスピタリティやエンターテイメントなどの周辺ビジネスに悪影響を与え、市内の経済回復の遅れを招いている。

1月に実施された調査によると、マンハッタンにオフィスを構えるメジャーな雇用主で、1日あたりの社員の平均出社率が50%を超えると答えたのは、わずか16%だった。75%の雇用主が、新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大を受け、職場復帰の計画を遅らせたと回答。22%は、出社率がいつ半分にもどるかさえ、予測がつかないと答えた。

ウェルズファーゴのシニアエコノミスト、マーク・ヴィトナー氏はブルームバーグの取材に「ニューヨークの経済は、オフィスとエンターテイメントセクターに大きく依存しているため、経済回復の遅れが長引いている」と指摘する。同サイトはまた、民間セクターの雇用の7%を占める観光産業では、海外からの旅行客が十分に戻らず、結果、仕事そのものがなくなったままのケースがあると説明している。

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ヴィトナー氏はまた、地下鉄などで犯罪が多発しており、「公衆の安全に対する懸念」も、オフィス復帰を遅らせる要因と主張。ニューヨークポスト紙に「人々が、公共交通機関の利用に消極的で、通勤を自家用車に頼る他の地域に比べて、(経済復帰の)道のりが困難」と語った。

地下鉄の乗車率は、パンデミック前に比べて60%程度だという。

1月の就任したエリック・アダムス市長は、ニューヨーカーにオフィスに戻るよう繰り返し呼びかけている。先月、ニューヨーク州民主党大会で行ったスピーチでは、在宅勤務の状況が、安定的な人の流れに頼るサービス型のビジネスを傷つけると主張。「仕事に戻る時だ。月曜日にはコロナが心配だと言って、日曜にナイトクラブで会いましょうなんて言わせない」と冗談めかしつつ、オフィス復帰の重要性を訴えた。