MAGA内対立が国境越え イスラエル議員、米右派論客を『新たな敵』と名指し

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Rena Schild/shutterstock

イスラエル与党リクードのダン・イルーズ議員は先週、国会(クネセト)での演説で、アメリカ政治の内部に「新たな敵」が台頭していると警告し、その名指しとして右派インフルエンサーのタッカー・カールソンとキャンディス・オーウェンスを挙げた。

Washington Jewish Weekによると、イルーズは演説の中で、「われわれはこれまで外部の敵と戦ってきた。ハマスのテロトンネル、イランの弾道ミサイルだ。しかし今日、最大の同盟国である西側諸国を見渡すと、内側から生まれつつある新たな敵が見える」と説明。「それは愛国心としてアメリカ国民に売り込まれている毒であり、タッカー・カールソンとキャンディス・オーウェンスによる“知的破壊行為”だ」と批判した。

さらに、「彼らは“ウォーク左派”と戦っていると主張するが、本質的には同じだ」と主張。「急進左派がトーマス・ジェファーソンの像を引き倒すなら、タッカー・カールソンはウィンストン・チャーチルの遺産を引き倒す。急進左派が西洋文明は悪だと言うなら、キャンディス・オーウェンスは我々の信仰のルーツは悪魔的だと言う。同じ病だ」と語った。

Times of Israel の取材で、米政治への介入と受け取られる可能性について問われると、イルーズは「アメリカとイスラエルの同盟関係を守ることは干渉ではない」と反論。「多くの親イスラエル保守派と連絡を取っているが、彼らはキャンディスやタッカーがイスラエルだけでなく、アメリカにとっても脅威だと理解している」と述べた。

これに対し、オーウェンスはX(旧Twitter)で強く反発。「イスラエルのリクード党が、私とタッカー・カールソンを戦うべき敵に指定した。これらの人々は殺人者だ。発言を理由に私たちを脅している」と投稿し、メンションにトランプ大統領とJDバンス副大統領のアカウントを加え、政府に認識を促した。

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イルーズは同じくX上で即座に反論。「民主主義国家では、議員が発言することは“党の決定”ではなく、議論だ」と述べ、「意見の違いを封じ込めようとするのは、批判するウォーク左派と同じキャンセルカルチャーだ」と批判した。また、オーウェンスの言説について「反ユダヤ的なトロープが強まっている」とし、「この戦いは文明をめぐる思想闘争」であり、「真実とより強い議論で対抗する」と強調した。

MAGA運動内で反介入主義、孤立主義の声を主導するカールソンはポッドキャストなどで、イスラエルのガザ戦争やワシントンにおける親イスラエル・ロビーの政治的影響力を繰り返し批判している。昨年10月には、極右活動家でホロコースト否定論者のニック・フエンテスを自身の番組に招いたことで、ユダヤ系保守派から「反ユダヤ主義的言説の拡散につながる」と強い反発を受けた。

一方のオーウェンスも、イスラエルのガザにおける軍事対応を非難している。2023年11月には、X上で、「いかなる政府もジェノサイドを行う権利はない」と投稿。「議論の余地はない」と断じた。この発言は支持を集める一方で、反ユダヤ主義だとの批判も招き、当時番組を担当していた保守系メディア「デイリー・ワイヤー」内でベン・シャピーロとの対立、その後の解雇へと発展した。