オハイオ黒人男性射殺 警察が映像公開 60発以上の発砲

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オハイオ州で黒人男性ジェイランド・ウォーカー(Jayland Walker)さん(25)が警察官に射殺された事件で、同州のアクロン警察は、現場にいた警官のボディカメラの映像を公開した。

事件があったのは先月27日深夜12時半。警察の説明によると、車を運転していたウォーカーさんは交通違反と装備違反によって停車を求められたが、命令に従わず逃走した。車を追跡する間、ウォーカーさんの車からは発砲音が聞こえた。高速道路を数分間運転した後、市街地に逃げこんだ。その後、動いたままの車の助手席から脱出し、逃走を試みた。

動画には、目出し帽をかぶって走るウォーカーさんを、複数の警官が追いかけ、数十発発砲する様子が撮影されている。

警察の説明によると、警官は当初テーザー銃を使用したが、失敗に終わった。走っていたウォーカーさんが、急に警官の方を振り向いたといい、これに警察が反応し発砲したとしている。なおウォーカーさんの運転席からは、拳銃1丁と弾の入った弾倉、指輪が発見された。

ウォーカーさんの運転席から見える閃光©Akron police
スキー帽をかぶり逃走するウォーカーさんをティーザー銃で捉えようとしたが失敗に終わった©Akron police
車内に残されていた拳銃と弾倉©Akron police

ステファン・ミレット警察署長は会見で、「所定の車両停止」から公共の安全問題へと発展したためと、発砲に至った理由を説明した。ウォーカーさんが、腰のベルトに手を持っていくそぶりを見せたとも話している。

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検視官によると、ウォーカーさんの遺体からは60発の銃弾が見つかったという。事件に直接関与した警官は8人で、アクロン警察での職務歴は、1年半から6年だった。人種に関して、黒人の警官が1人、残りは白人だったとしている。女性警官も1人含まれていた。8人は調査の間、休職を命じられている。

ウォーカーさんの代理人ボビー・ディセリオ(Bobby DiCello)弁護士は、公開されたビデオは、暴力の行使を正当化するために組み立てられたものだと批判している。

USA Todayによると、ディセリオ氏は、警察側は当初「ウォーカー氏が警官を恐怖に陥れるような動きは見られなかった」と話していたと指摘。ビデオでは、最大95発の銃声音が確認できるとし、中には銃弾を再装填する様子も確認できると話している。

遺族は、警察がウォーカーさんを「銃を持ったマスク姿のモンスターに仕立て上げようとしている」と批判した。

ニューヨークタイムズによると、ウォーカーさんに犯罪歴はなく、1件の交通違反があっただけだった。

なお銃は、ウォーカーさん自身が最近、合法的に入手したものだという。ディセリオ氏は、ウォーカーさんはまだ銃器の扱いに慣れていなかったと話している。