25日、下院司法委員会の公聴会「ビザ手続きの誠実さと安全性の回復」で、民主党のジャスミン・クロケット下院議員(テキサス)が、トランプ政権と共和党の“移民へのダブルスタンダード”に一石を投じた。
「ビザ制度の“誠実さ〜”を語るだなんて、まるでジョーク」。
クロケット議員はそう切り捨てると、「誠実さとは、合法的なビザ保持者を路上でさらって無地のバンに放り込んだり、SNSの投稿が誰かさんの小さな心を傷つけたってだけでビザを取り消したりすることなんかじゃない」と批判した。
さらに話題はあの人物へ。
「共和党が、なぜ大統領の家族のビザにまつわる誠実さの欠如を取り上げないのか、私には理解できない」。
クロケット議員は「ここで皆さんに思い出してほしいのは、メラニア夫人、つまりファーストレディが『モデル』だったということ。『モデル』と言っても、タイラ・バンクスやシンディ・クロフォード、ナオミ・キャンベル級じゃない。それなのに、彼女はEB-1ビザを申請して取得した」と指摘。
「ノーベル平和賞やピュリッツァー賞の受賞、オリンピックのメダル獲得、あるいは科学・芸術・教育・ビジネス・スポーツにおける持続的かつ卓越した業績がある人に与えられるものよ。私の知る限り、メラニア夫人はそのような実績を一切持っていない。筋がとおらないじゃない」と続けた。
EB-1ビザは通称「アインシュタインビザ」とも呼ばれ、国際的な評価を受け並外れた能力を有する者や優れた研究者、特定の多国籍企業の幹部に発給される。
この話題に、証人として出席していたリバタリアン系シンクタンク「ケイトー研究所」のアレックス・ナウラステ氏も思わずジョークで応酬。
「メラニアのために言っておくと、誰もがドナルド・トランプと結婚できるわけじゃない。かなりの達成だと思いますよ」と笑いを誘った。
■ メラニア氏の実績とは?
メラニア夫人は昨年発売した回顧録『Melania』の中で、渡米前のキャリアについて、大学生時代にイタリアで開催されたモデルコンテストで優勝した経験や雑誌主催のコンテストで2位となり、モデルエージェントとの契約を獲得してミラノ、その後パリで活動した経緯を振り返っている。
本人も認めるところだが、ランウェイを飾るモデルではなく、コマーシャルやカタログモデルだった。
ニューヨーク行きを助けたのはニューヨークのモデル・エージェント「ID Models」の共同創設者でトランプ氏と親しいパオロ・ザンポリ氏だった。渡米から2年後の1998年にザンポリ氏主催のパーティーで当時2番目の妻と離婚協議中だったトランプ氏と出会い交際に発展した。渡米後のモデル業については、バーグドルフ・グッドマンやニーマン・マーカスといった一流デパートの仕事や『フィットネス』、『グラマー』などの雑誌の撮影に起用され、「業界で名を馳せた」と振り返っている。
ただし、その実績に対しては懐疑的な声も。
メラニア氏がニューヨークに移り住んだ当時ルームメイトだったというフォトグラファーのマシュー・アタニアン氏は、20代後半に入りモデルとして「時間切れ」に差し掛かっていたメラニア氏は、2流3流の仕事しか得ていなかったと主張している。
また、女優のクイン・カミングス氏は、モデルとして活躍した形跡が見当たらず、「ニューヨークのおじさん」と交際して有名になるまで、「彼女には説明できない10年がある」と指摘している。