米政治ニュースサイトAxiosは3日、6日(金)に予定された米国とイランの協議について、イラン側から形式変更の要請が出ていると報じた。
イラン側は、開催地を当初予定のイスタンブールからオマーンへ移すことを求めているほか、カタール、エジプト、サウジアラビア、オマーン、トルコといった複数のアラブ・イスラム諸国がオブザーバーとして参加する形ではなく、米国との二国間協議とすることを希望しているという。
関係筋によれば、イラン側には、協議を核問題に限定し、ミサイル開発や地域の代理勢力といった、周辺国が重視するテーマに議論が拡大するのを避けたい思惑があるとされる。
こうした外交的な調整が進む一方で、同サイトは同日、イラン軍が米船籍の商船および艦艇に対し、2度にわたる「攻撃的行動」を取ったとも伝えている。
最初の事案では、革命防衛隊の高速砲艦がホルムズ海峡付近で米船籍の商船に接近し、乗り込みを試みたとされる。米海軍の駆逐艦が現場に到着する前に、砲艦は散開したという。
その約6時間後、イラン南岸から約500マイル(約800キロ)離れた海域で、目的不明のイラン製無人機が空母エイブラハム・リンカーンに接近。これを受け、F-35戦闘機が当該無人機を撃墜した。
米軍は過去1か月間で、イラン近海に展開する基地へ航空機を追加配備し、中東地域およびその周辺海域に約12隻の軍艦を集結させている。
一方、イスラエル紙エルサレム・ポストによると、今回の協議を前に、スティーブ・ウィトコフ米国特使が火曜日にエルサレムを訪問し、ベンヤミン・ネタニヤフ首相と約3時間にわたって会談した。
ネタニヤフは会談の中で、「イランは約束を守る能力がないことを繰り返し証明してきた」と述べたという。会合には、マイク・ハッカビー駐イスラエル米国大使、イスラエル・カッツ国防相、イスラエル国防軍参謀総長のエヤル・ザミール中将、モサドのデビッド・バルネア代表も同席した。
こうした動きを背景に、交渉の行方については懐疑的な見方も強まっている。
米イラン関係の専門家で、クインシー・インスティテュート・フォー・レスポンシブ・ステートクラフトのトリタ・パルシは、YouTube番組『Breaking Points』で、「核問題とミサイルをめぐる両国の立場は極めて隔たっており、イラン側が譲歩できる余地はほとんど残されていない」と指摘した。
またパルシは、トランプがイランの軍事力を過小評価しているとした上で、「イランは想定されているほど弱体化しておらず、容易に屈服する状況にはない」と述べた。イラン国内には、強硬な報復によってトランプの認識を修正すべきだという声があるほか、仮に軍事的勝利が難しくとも、エネルギー市場の混乱や米国内のインフレを通じて、政治的打撃を与えることは可能だという計算も存在するとしている。
両者の距離が縮まらないまま、トランプの短期的・取引型の外交姿勢が続けば、事態が急速に軍事衝突へと傾く可能性も否定できないとした。
プログレッシブ系番組『The Young Turks』の共同司会アナ・カスパリアンも、交渉を楽観視できないと語る。
彼女は、米側交渉担当のウィトコフ特使やトランプの娘婿ジャレッド・クシュナーについて、「和平よりも、イスラエルの意向を優先しているように見える」と批判。さらに、トランプ周辺には、非介入を掲げつつも、実際には軍事行動を前提とした姿勢を取る人物が多いと指摘した。
その文脈で、JD・ヴァンスについても言及し、「特に注意が必要だ」とした上で、「ピーター・ティールによって作り上げられた存在であるにもかかわらず、反戦の人物であるかのように評価を“洗浄”しようとする動きがある」と述べている。
同じく司会のジェンク・ウイグルは、「今回も戦争に向かう可能性が高い」と断言。過去の交渉局面で、交渉中にもかかわらず軍事行動が取られ、トランプが自慢したと前例を挙げ、「そんな男と誰が交渉すると思うか」と疑問を呈した。
番組ではCNNが先週放送したイランのアッバス・アラグチ外相インタビューも紹介した。外相は、「残念ながら、われわれは交渉相手としての米国への信頼を失った」と述べ、トランプ政権による核合意離脱や、過去の交渉過程での軍事行動決定に言及。「有意義な交渉には、この不信を克服する必要がある」と語っている。
その一方で、有力紙はイラン政府による抗議者への暴力について、異例の規模だと強調している。
ワシントン・ポスト紙は、米国拠点の人権団体HRANAの報告を引用し、死者は6,800人を超え、1万1,000人以上が死亡調査中だと報じた。ただし、情報規制や通信遮断の影響で、独立した検証は困難だとしている。調査報道サイトDrop Site Newsは、HRANAが米政府支援を受けるナショナル・エンドウメント・フォー・デモクラシー(NED)から資金提供を受けている点にも触れている。
なお、オンライン予測市場Polymarketでは、2月末までに米国がイランを空爆する確率は、ここ数日で60%から20%へと急落しており、少なくとも短期的な軍事衝突を織り込まない見方が広がっている。

