なぜAIが黙り込む?『トランプ 認知症』検索に異変

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「トランプ」の健康不安を入力すると、AIが口をふさぐ?
米テック系メディア『The Verge』は1日、Googleがトランプ大統領(79)の健康状態に関する検索結果のAI要約機能を制限している可能性があると報じ、波紋が広がっている。

同サイトによれば、「does trump show signs of dementia(トランプに認知症の兆候はあるか)」と検索すると、AIによる概要欄に「この検索ではAI概要は利用できません」というメッセージが表示される。AIモードに切り替えても状況は変わらず、通常の検索結果が10件ほど並ぶだけだ。

興味深いのは、検索語を「Biden」や「Obama」に置き換えた場合、AI要約が機能する点だ。「公開されている情報のみに基づいて、ジョー・バイデン前大統領が認知症であるかどうかを明確に断言することはできません」や「オバマ元大統領が認知症であることを示す公開証拠や医療専門家の声明はありません」などから始まる要約が表示されるという。

またトランプについては、「アルツハイマー」や高齢者関連のワードを含めてもAI要約が表示されない傾向が見られ、記者は「Googleがトランプの反応を恐れている可能性がある」と指摘している。

何らかの制限がかけられているかは不明だが、SNS上ではこの“選別”の可能性に疑念が高まった。「多分AIが“やっぱり症状がある”と答えてしまうからだろ」といった皮肉から、「YouTubeの件だけでは機嫌を取れず、今度は“偉大なる将軍様”への忠誠アピールだ」と揶揄する投稿まで、さまざまなコメントが寄せられている。

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タイミングも意味深だ。Google傘下のYouTubeは今週、2021年の連邦議会議事堂襲撃事件をめぐり凍結されたトランプのアカウントを巡る訴訟で、2,450万ドル(約38億円)を支払うことで和解したばかりだった。

トランプの健康状態は、国民の関心が最も高いテーマの一つだ。YouGovが9月に実施した世論調査では、49%の有権者が「大統領になるには年を取りすぎている」と回答し、「そうは思わない」(39%)を上回った。63%は「年齢や健康が職務遂行能力に影響している」と考えており、約半数が「認知機能の低下がある」と見ている。透明性への評価も悪化しており、トランプが十分な情報開示をしていないと答えた人は、選挙前の44%から51%へと増加した。

現に、足首の腫れや手のあざといった身体的な変化がメディアで取り上げられているほか、専門医からは「語彙の減少や発話の乱れ」といった認知症の兆候を指摘する声もある。先週、軍幹部を前に「米国内の都市を軍事訓練場として活用すべきだ」と主張した演説についても、元連邦検事のグレン・カーチナーが「まるで重度の認知症患者のようだ」と辛辣に評しており、懸念は強まる一方だ。