トランプ政権第1期でホワイトハウス報道官を務めたアンソニー・スカラムーチ氏が、トランプ大統領にとって不利となる情報が存在する可能性に言及した。ただし、それはイーロン・マスク氏が主張した「爆弾」とは異なる視点からである。
世界一の富豪と米大統領の対立は、先週SNS上での激しい応酬に発展。その中でも最も注目を集めたのは、マスク氏がXの投稿で、「爆弾」を落とすとして、ジェフリー・エプスタインの性犯罪にトランプ氏が関与している可能性を示したことだった。
“Time to drop the really big bomb,” Musk said in a June 5 post on X. “@realDonaldTrump is in the Epstein files. That is the real reason they have not been made public. Have a nice day, DJT!”
(大きな爆弾を投下する時が来た。エプスタイン・ファイルにトランプが載っている。それが公にされない本当の理由だ。よい一日を、DJT)
ただし、マスク氏はこの主張を裏付ける証拠を提示しておらず、該当の投稿も現在は削除されている。
スカラムーチ氏は、かつてわずか10日間で報道官を解任されたことで知られる。6月10日に配信された米メディア「デイリービースト」のインタビューに応じ、エプスタイン関連の情報については「以前から出回っていたが、もし真実であれば、民主党が前回の選挙でそれを利用していたはずだ」と語った。また、「民主党はFBIを掌握していたし、メリック・ガーランド元司法長官もその情報を見つけられたはず」とも述べ、マスク氏の主張に懐疑的な姿勢を見せた。
その一方で、スカラムーチ氏は「トランプ大統領にとっての弱みとなる情報があると信じている」と明言。「それが具体的に何なのかは分からない。プーチンは彼に何をもっているのだろうか。彼はプーチンに対してひどく媚びへつらっている」と述べ、ロシアが何らかの情報を握っている可能性に言及した。
さらに氏は、「もし彼らが1980〜90年代にトランプ氏を監視していたのだとすれば、決定的な情報を手にしている可能性がある」とも指摘。世界最大の軍事力と経済力を誇る国家の現職大統領が、イタリアほどの「GDP」の「破綻国家」の指導者に対して低姿勢である理由は、「他に説明がつかない」と述べた。
なお、ロシアが若い頃のトランプ氏を「アセット(工作対象)」として育成しようとしていたという説は、政権第1期のころから繰り返し浮上している。元KGBのスパイは以前英紙ガーディアンに対し、トランプ氏がチェコスロバキア出身の元モデル、イヴァナ氏と結婚した1977年からロシア側が関心を寄せていたと証言。また、KGBはロシア移民の経営するマンハッタンの家電店をフロントにして、トランプ氏を監視していたと語っている。
今年2月には、旧KGBの後継機関「国家保安委員会」の元議長を名乗るアルヌール・ムサエフ氏(Alnur Mussayev)が、KGBが1987年にトランプ氏をリクルートし、「クラスノフ(Krasnov)」というコードネームで呼んでいたとSNSで発言し、一部で注目を集めた。ただし、これらの証言についても信ぴょう性は確認されておらず、確たる証拠が提示されているわけではない。