トランプ政権の波紋:ヨーロッパで米国好感度が急落

37

トランプ政権の誕生で、西側諸国が米国に抱いてきた伝統的なイメージが崩れつつあるようだ。

YouGovが英国とヨーロッパ6カ国の成人に対して実施した世論調査(2月5日〜18日)で、人々の米国に対する好感度が低下していることがわかった。

1月に政権に返り咲いたトランプ大統領はそれまでの米国の対外姿勢を転換。アメリカファーストの名の下に挑発的な政策を発表し、世界に困惑が広がっている。

カナダとメキシコ、中国に対して課した追加関税は4月にその他の国々にも拡大する。デンマークの自治領グリーンランドの獲得、カナダ併合、パナマ運河の奪還といった構想を打ち出し、昨日議会で行った施政方針演説ではグリーンランドを「何としても獲得する」と述べるなど、不穏な発言が話題になった。ロシア寄りの姿勢、さらに先週報道されたホワイトハウスでウクライナのゼレンスキー大統領を厳しく叱責する姿は世界中の批判を浴びた。

YouGovの発表によると、英国とEU6カ国(デンマーク、スウェーデン、ドイツ、フランス、スペイン、イタリア)すべてにおいて、米国に抱く好感度がいずれも下落した。下落幅は6ポイントから28ポイントだった。

Advertisement

好感度が最も低下したのはデンマークで、8月時点の調査(48%)から28%低下。好意的な見解を抱いている人の割合は20%にまで落ち込んだ。

次いで下落幅が大きかったのはスウェーデンとドイツで、ともに20%低下。フランス16%、英国12%、スペイン8%、イタリアは6%低下した。

結果、スウェーデンとドイツ、フランスで米国に肯定的な感情を抱いている人は約3割となり、英国、スペイン、イタリアは4割程度に落ち込んだ。

米国に対する好感度

  • デンマーク:20%
  • スウェーデン:29%
  • ドイツ:32%
  • フランス:34%
  • 英国:37%
  • スペイン:43%
  • イタリア:42%

英国、デンマーク、スウェーデン、スペイン、イタリアの米国に対する好感度は、調査を開始して以来最低の数値を記録したという。

否定的な見解については、英国 (53%)、ドイツ (56%)、スウェーデン (63%)、デンマーク (74%) の4カ国で半数を上回った。否定的見解が好感度を上回らなかったのはイタリアだけだったが、それでも42%-42%のイーブンに分かれた。

YouGovはまた、トランプ氏の当選前後でも好感度が低下していた点を指摘。「米国に対する好意的な見方は、トランプ氏が当選したという事実(選挙前の調査と11月の調査では3~11ポイント下落)と大統領としての最初の対応の結果としても低下している」。