米のイラン爆撃はプーチン氏に「好都合」ーー元ロシア大使

12
Rokas Tenys/shutterstock

著名なロシア研究家で、オバマ政権でロシア大使を務めたマイケル・マクフォール氏は、トランプ氏のイラン核施設爆撃の判断は、長期的に米国の国益を損なうと警鐘を鳴らした。

MSNBCのインタビューに出演したマクフォール氏は、ハマスおよびヒズボラに続くイランの弱体化はロシアの中東政策にとって「短期的」な打撃となるとした上で、長期的には「実際にロシアにとって良いことだ」と指摘。「プーチン大統領がウクライナに対して行った先制戦争を我々は正当化し、今やそれに加担している。これが大国の振る舞いなのだ。アメリカの国益を損ねると思う」と語った。

さらに、「米国が孤立を深める一方、中国は責任あるステークホルダーであり、国家主権を支持し、国際法を支持する国家のように見える。これはアメリカの長期的な利益にも害を及ぼしている」と中国の発言力を高め、米国の影響力の低下をもたらす可能性に懸念を表明した。

今回のイランの核施設攻撃は、過去の戦争と「決定的に異なる」とも説明。アフガン侵攻やイラク戦争では少なくとも部分的な国際社会や同盟国の支持があったが、「今日のこの行動の特徴は、議会の支持も、国連安全保障理事会の決議の支持も、NATOや同盟国からの決議も受けていないことだ」と強調した。

ロシア外務省は声明で、アメリカによるイラン攻撃を強く非難。「主権国家の領土に対するミサイルや爆撃は、いかなる理由があっても国際法や国連憲章、国連安保理決議に明白に違反する」と指摘した。

Advertisement

中国外務省も、「国連憲章と国際法の目的と原則に重大に違反し、中東の緊張を一層悪化させるもの」として厳しく批判。イスラエルに早期停戦および対話を呼びかけ、「中国は国際社会と協力して力を合わせ、正義を守り、中東の平和と安定の回復に取り組む用意がある」と声明を発表した。