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エプスタイン 獄中で語った「株式投資の秘訣」とは

死亡から2年以上が経った今も他殺の噂が絶えないジェフリー・エプスタイン元被告。マンハッタンの矯正施設で世話役を務めた元囚人が、最後の日々の様子を明かしている。

性的人身取引罪などで逮捕、起訴されたエプスタイン被告は、2019年8月、収監先のメトロポリタン矯正センターで意識不明の状態で発見され、搬送先の病院で死亡が確認された。ニューヨーク市検視局は、死亡から約一週間後、首吊りによる自殺と断定した。エプスタインは、この前月にも自殺未遂をし、病院に搬送されていた。その後、自殺防止の監視下に置かれたが、死亡当日はその監視が解かれていた。

死亡当時、担当の看守2人がネットサーフィンや居眠りをして、見回りを怠っていた。さらに、房外に設置された2台の監視カメラが故障していた。他殺を主張する声の中には、これら不可解な偶然を指摘する声も多い。

エプスタインとの体験をメディアムに記しているのは、ウィリアム・マーシー元受刑者。売春婦の広告エージェントを営んでいたマーシー氏は、脱税で有罪となり、同施設に服役していた。ポール・マナフォートと同房になったこともあるという。

マーシー氏によると、連邦刑務所局は予算不足のため、施設では、自殺のおそれのある収監者の監視に、他の受刑者が雇われるのだという。選ばれた受刑者は3~4時間の訓練を受け、4時間シフトで業務にあたる。給料は時給12セントから40セントだという。マーシー氏も訓練を受けた1人だった。

メトロポリタン矯正センターは、ジョン・ゴッティ、バーニー・マドフ、エル・チャポなど、タフな罪人が収監されたことで知られる。

最初、雑居房に入ったエプスタインは、数日間で根を上げ、保護拘置を求めたという。ただし、これは危険な選択で、特別房で凶悪な罪人と同居人になることを意味していた。

結局、この数日後には特別房から、今度は自殺防止房に移動。ここでマーシー氏と対面することになる。

2人は何度も、囚人との接し方や刑務所の暮らし方について話をしたという。雑居房での体験がトラウマになっていたエプスタインは、大柄の黒人をボディーガードに雇うべきかなどと尋ねたこともあった。

自殺防止房での暮らしに、泣き言を漏らさなかったという。就寝時は、靴下を目に当てて(消灯が禁じられていた)、1インチほどの薄っぺらいマットに仰向けになり、すぐに眠りに落ちた。文句を言ったのは唯一、施設から提供される下剤についてだった。

あまり自慢話しをすることはなかったが、プライベートジェットで、トランプ前大統領と交わした会話や、ビル・クリントン元大統領と上海を訪れた際、美女を目にしたクリントン氏が、振り返って「あの女性は、中国の算術より僕のものをカチコチにする」と話したエピソードを打ち明けた。マーシー氏が、クリントン氏は若い子が好きだったのかと聞くと、成熟した女性が好きだったと答えた。

「株は女のようなもの」

一方、投資関連の話には積極的で、マーシー氏の財政状況に質問をしたり、資産形成の方法について議論することもあった。ある時、出所後に株を始めてみようと考えていると話すと、「株は女のようなものだ。女がどうしたら幸せになるか、悲しくなるのかを学ぶとするだろう。彼女の心理を理解できれば、ムードを予測することができる」と例え話を始めた。続けて「3つの銘柄について6ヶ月間、国際ニュースとその分野のニュースへの反応を観察すれば、動きを予測できるようになり、うまく取引する準備が整うはずだ。これが株式市場で勝つ方法だ」などと話したという。

エプスタインはその後、特別房との行き来を繰り返した。自殺未遂をした後、何があったかと尋ねると「わからない。深夜に水を飲もうと起きたが、その後のことを覚えていない」と奇妙な答えを返した。

最後に会話をしたのは、特別房に戻る前日だった。エプスタインは、石の床に座って、足の間に発泡スチロールの皿を置いて食事をしていたという。落ち込んだ姿に驚いたマーシー氏が「いったい何をしてるんだ」と話すと、「この方が簡単なんだ」と答えた。この日のエプスタインは、保釈申請を却下されたばかりで、運命を悟ったかのように見えたという。

この時、突然「マーシー。お金は要らないか?」と尋ねたという。答えに躊躇すると、エプスタインは続けて「億万長者の金をいつも使うことができるんだ。車の登録番号を教えてくれ。そうすれば君の帳簿にいくらか金を振り込める」と話したという。

その後一週間ほど、エプスタインの噂を耳をすることはなかった。死亡した朝、房内で食事を摂るよう命じられ、建物は捜査関係者で溢れかえっていたという。

別の特別房にいた囚人は、前日の夜について、誰も出入りをしておらず、エプスタインの房からシーツを裂く音が聞こえたと話したという。マーシー氏は、この話を疑う理由はなく「今日まで、エプスタインは自殺だと信じていると」と記している。

マンハッタンの裁判所では、先月末から、エプスタインの元恋人で、仕事上のパートナーだったとされるマクスウェル被告(59)の裁判がスタートした。被告は、未成年の少女らを、勧誘、手なずけ、エプスタインによる性的虐待を助けたとして、6つの罪で起訴されている。有罪となれば、80年の実刑を言い渡される可能性があると伝えられている。

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