「殺人ピエロ」ジョン・ウェイン・ゲイシーの犠牲者 50年ぶり身元判明

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1970年代に全米を震撼させた連続殺人事件の被害者の身元が、遺伝子系図捜査によって判明した。インデペンデントが報じた。

事件から49年ぶりに身元がわかったのは、フランシス・ウェイン・アレクサンダーさん。死亡当時21歳または22歳だった。犯人は「殺人ピエロ」ことジョン・ウェイン・ゲイシー。イリノイ州ノーリッジで1972年から1978年の間、少年を含む33人の男性を強姦、拷問をした上で殺害し、自宅の床下などに埋めていた。abcニュースによると、5人の遺体の身元が長らく不明となっていたが、2011年の捜査再開により、このうちの3人の身元が特定された。

ゲイシーは、長距離バスのバス停や、道端で男性に声をかけ、食べ物や飲み物、または性交渉の代わりに金を支払うと言って家まで連れて帰った。拉致したり、警官と偽って被害者に近づくこともあった。

ゲイシーは、自宅に引き込んだ被害者らを拷問、強姦した上で、殺害を繰り返した。床下からは26人の遺体が発見されたが、腐敗を早めるために石灰をまくなどして、証拠隠滅をはかろうとしていた。このほかに、川に死体を遺棄したケースもあった。

凶悪犯の顔を持つ一方、地元のチャリティ活動に積極的に参加していた。無償でイベントに出向いて、ピエロのパフォーマンスをするグループにも参加し、「ポゴ」や「パッチ」という名前のピエロとして、子供のパーティに頻繁に姿を見せた。

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犯行に際しては、食べ物や飲み物を用いて被害者を信頼させたほか、ピエロの格好をしてマジックのトリックを教えてあげると申し出ることもあった。ピエロ姿のゲイシーは、指の間に隠した鍵を使って、手錠からすり抜けるマジックを披露。その後、被害者にやり方を教えてあげると言って、手錠をかけて身動きを取れなくした挙句、犯行に及んだ。この時、ゲイシーは被害者に「トリックはね、君が鍵をもっていなくてはならないということだよ」などと告げたという。

ゲイシーは被害者を強姦、拷問した後、ロープで絞殺、または喉に布を押し込んで窒息死させた。犯行方法と服装から、後に「殺人ピエロ」と呼ばれた。

フランシスさんの身元判明へと導いたのは、遺伝子捜査の技術の発達によるものだった。

クック郡警察は遺伝子系譜を解明する団体「The DNA Doe Project」と連携。被害者の家族の特定には、遺伝子記録と、新聞や家系図などの公となっているデータを組み合わせる遺伝子系図の手法が用いられた。

フランシスさんは発見時、衣類は残っていたが白骨化しており、推定年齢と体格以外にわかるものがなかった。調査では、遺体の奥歯から遺伝子を採取。その後、GEDmatchのデータベースをもとに「はとこ」にあたる人物が特定され、最終的にフランシスさんへとたどり着いた。

フランシスさんは当時、家族と疎遠になっており、家族側も失踪届けを提出していなかった。

遺族は声明で「45年たった今でも、愛すべきウェイン(フランシスさん)の運命を知って辛い思いだ」と心境を説明。「せめてもの救いは、犯人が私たちと同じ空気を吸っていないこと」と述べ、「何が起きたかを思い悩むことをやめて、前進することができる」と発表した。

ゲイシーは1994年に死刑に処されている。