イラン攻撃の可能性は?トランプ、政治リスクとイスラエル圧力の板挟みに

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noamgalai/shutterstock

トランプ大統領は現在、中間選挙への影響と、イスラエルからの圧力の間で、イラン情勢への対応を決めかねているという。中東情勢に詳しい独立系ジャーナリストのマックス・ブルーメンタールは、ラジオホストのスコット・ホートンの番組に出演し、トランプ政権を取り巻く力学について自身の見解を語った。

ブルーメンタールによると、トランプがイラン空爆に踏み切らなかった背景には、「イスラエル主導の“ベネズエラ方式”の解決策が現実的ではない」との認識があったという。政権内部では、仮に空爆を行っても大きな成果は見込めず、むしろ抗議活動の収束を早め、結果としてイスラム共和国体制を強化する可能性がある、との評価があったとされる。 また、イランが在中東の米軍基地に報復攻撃を行った場合、戦闘が長期化し、米兵に犠牲者が出ることで、国内政治への深刻な打撃となる懸念もあったという。ブルーメンタールは、こうした事情から「良い解決策がない状況にある」と述べた。

一方で彼は、軍事的な攻撃構想そのものはイスラエル側の強い働きかけによるものだと主張し、トランプはイスラエルとの間で「何らかの合意」を抱えた状態にあると説明した。具体例として、イスラエル支持で知られる大口献金者がトランプ陣営を財政的に支援し続け、党内の異論を抑え込む動きがある一方、その見返りとして、イランの体制を弱体化、あるいは転換させることが期待されている、という構図を挙げた。

その文脈で言及されたミリアム・アデルソンは、カジノ王として知られた故シェルドン・アデルソンの妻で、トランプの最大級の献金者の一人だ。昨年の選挙戦では、トランプ支持のスーパーPAC「Preserve America」に約1億600万ドルを拠出したとされる。米国大使館のエルサレム移転や、ゴラン高原に対するイスラエルの主権承認など、トランプ政権の親イスラエル政策を強く支持してきた人物としても知られ、2018年には大統領自由勲章を授与されている。

トランプは先月、ハヌカのキャンドル点灯式での演説で、ミリアムから2億5000万ドルの支援の申し出があったことを明かした。この場では、壇上に招かれたミリアムが、ユダヤ系弁護士のアラン・ダーショヴィッツとトランプの3期目の合法性について議論したと語り、会場から「あと4年」という声が上がる場面もあった。

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一方、米政治メディアAxiosは、トランプが13日、ホワイトハウスのシチュエーション・ルームで軍事オプションの説明を受けていたと報じている。会合では、米艦船や潜水艦から発射されるミサイルで、イラン各地の政権関連施設を攻撃する案など、複数の選択肢が提示されたという。 翌日にトランプが攻撃を承認するとの見方が広がったが、最終的に命令は出されなかった。Axiosは、地域に展開する米軍装備が十分でなかったこと、イスラエルやサウジアラビアを含む同盟国からの懸念、そしてイラン側とのバックチャネルを通じた交渉が、判断に影響を与えた可能性があるとしている。

ブルーメンタールはさらに、イラン国内の抗議活動をめぐる米国およびイスラエルの関与についても言及した。彼の説明によれば、通貨暴落をきっかけに始まった抗議は、当初は警察の監視下で比較的平穏に行われ、政府や宗教指導者との対話を求める性格が強かったという。しかしその後、急速に体制転換を掲げる過激な動きへと変化していったと述べた。

年末にネタニヤフ首相がトランプを訪問したことに触れ、「これはすべて仕組まれていたように見える」と指摘。国外から指示を受けた王政支持派や急進的な勢力が抗議に加わり、混乱を拡大させたとの見方を示した。また、多数の警察官や非武装の治安要員が犠牲になった背景について、イスラエルによる抗議活動の武装化・軍事化があると主張した。 ブルーメンタールによれば、イスラエルの諜報機関モサドはSNS上で関与を示唆する投稿を行い、マイク・ポンペオ元CIA長官も同時期に「モサドはあなた方のそばを歩いている」と発言をしていた。また、イスラエルの主要テレビ局の特派員が、抗議活動の武装化が多くの死者を生んだことについて、肯定的とも取れる表現でSNSに投稿していたとも述べた。

彼はまた、「これが本当は何だったのかに気づき始める人も増えている。モサドが再参入して仕掛けた暴動だった」としたうえで、暴動の中心的な担い手については「王政派だった可能性が高い」との見解を示した。彼は、王政派の一部に強い反イスラム感情があり、自らを「本来のイラン人」と位置づけ、イスラム共和国の体制や象徴であるモスクや聖廟を敵視していると指摘し、コーランを焼く行為もその延長線上にあると語った。