2028年の米大統領選を見据えた世論調査で、民主党左派の若手スター、アレキサンドリア・オカジオ・コルテス(AOC)下院議員(ニューヨーク州)が、共和党のJ.Dバンス副大統領を僅差で上回る結果が示され、議論を呼んでいる。ただし、この結果をめぐる反応は、保守派だけでなく、左派・プログレッシブ陣営内部でも大きく割れている。
調査を行ったのは「The Argument / Verasight」。仮に2028年大統領選がAOC対J.D・バンスという構図になった場合、AOCが51%、バンスが49%と、AOCがわずかにリードするという結果だった。
さらに、「Yale Youth Poll」の11月の調査では、AOCは若年層の間でカマラ・ハリス元副大統領やギャビン・ニューサム・カリフォルニア州知事らを大きく引き離し、次期民主党候補の有力株としてトップに立っている。
AOC本人は、この世論調査結果をX(旧Twitter)で一言、 「Bloop!」 とだけ投稿。勝利を誇示するというより、軽く受け流すような反応を見せた。 一方、連邦議会議事堂の外で記者からコメントを求められると、「まだ3年も先の話よ」と前置きしつつも、「彼を圧倒してやるわよ!」と冗談交じりに語り、余裕と自信をのぞかせた。
当然ながら、保守派にとってこの結果は面白くない。
元FOXニュース司会のメーガン・ケリーは自身のポッドキャストで、この世論調査を真っ向から否定した。
「そもそも“bloop”って何? “poop(うんち)”に近すぎるわ」と皮肉り、「この調査は538にも認定されていないし、ニューヨーク・タイムズの基準も満たしていない。客観的な世論調査とは言えない」と、調査そのものの信頼性に疑問を投げかけた。
ゲスト出演したジャーナリストのグレン・グリーンウォルドも、AOCに対して辛辣だ。
「AOCは“親しみやすくてクール”に見せようとする民主党の寒い演出の最悪の例だ」
「大統領になる現実的な可能性がない人物を、怪しい世論調査で持ち上げる意味がわからない。どうせ粉砕されるのに」
一方、左派・プログレッシブ側も手放しで喜んではいない。
プログレッシブ系YouTube番組『The Young Turks(TYT)』のジェンク・ウイグルは、「彼女は別のポジションを狙うべきだ」と語り、大統領選出馬には否定的な見解を示した。
「運動(ムーブメント)全体の戦略として考えるべきだ。彼女が勝つ確率は高くない。民主党内だけでも20人はライバルが出てくる」
その代案としてウイグルが強く推したのが、ニューヨーク州選出の上院議員選だ。
「もしAOCがチャック・シューマーの議席に挑戦すると表明したら、彼は即引退するだろう。AOCが勝つのはほぼ確実だ」
「企業献金に縛られない、我々の価値観に近い上院議員を、超重要なNY選出で得られる。これはほぼ勝利が約束された一手だ」
味方の冷めた反応の背景には、AOCが近年、党内で指導的立場を構築するため中道寄りにシフトしているとの見方がある。
番組では「最近の中東情勢に対するAOCの発言は、あまりにも控えめだ」、「上のポジションを狙うために、火種になるイスラエル批判を避けているのではないか」といった批判が相次ぎ、ウイグルは 「道徳的にこれほど重大な問題で、最低限の勇気すら見せない人物は支持できない」と突き放して締めくくった。
