米パランティア・テクノロジーズ(PLTR)は11月2日(米国時間)、2026年7~9月期(第3四半期)決算を発表した。売上高は前年同期比96%増、前期比20%増の23.13億ドルで、四半期売上が20億ドルを超えるのは初めて。前年比、前期比とも上場以来最高の伸び率で、会社予想(21.60~21.64億ドル)を大きく上回った。LSEG集計の市場予想(調整後EPS 0.41ドル、売上21.8億ドル)に対し、調整後EPSは0.44ドルだった。
米商業が政府を初めて逆転
米国商業部門の売上は前年同期比148%増、前期比29%増の9.84億ドル。米国政府部門は96%増の9.53億ドルで、同社の歴史で初めて商業部門が政府部門を上回った。米国全体の売上は119%増の19.37億ドルで、総売上の84%を占める。
セグメント別にみると、商業部門全体の売上は113%増の11.68億ドル、政府部門全体は81%増の11.46億ドルで、いずれも初めて10億ドルを超えた。海外は伸びが鈍く、海外商業は21%増の1.84億ドル(前期比1%増)、海外政府は31%増の1.92億ドルにとどまった。
顧客基盤が拡大
既存顧客の支出の伸びを示す純ドル維持率(NDR)は165%と、前期から8ポイント上昇した。上位20社の顧客1社あたり売上(直近12カ月)は76%増の1.46億ドル。新規獲得も進み、米国商業の顧客数は686社(前年比29%増、前期比5%増)となった。
収益性
- 調整後営業利益:14.27億ドル(利益率62%)
- GAAP営業利益:10.85億ドル(初の10億ドル超え)
- Rule of 40:158%(前期155%。13四半期連続で上昇)
- GAAP純利益:11.28億ドル(前年同期の約2.4倍)
- 調整後費用:8.87億ドル(前期比20%増)。AI基盤への投資と技術者の採用が主な理由
調整後フリーキャッシュフローは12.16億ドル(利益率53%)で、前期の63%から低下した。
通期見通しを再び引き上げ
2026年通期の売上見通しは85.30~85.34億ドル(前年比91%増)とした。前回は81.50~81.58億ドル(82%増)だった。
- 米国商業の見通し:34.24億ドル超から35.59億ドル超(143%増)へ
- 調整後営業利益の見通し:52.45~52.49億ドルへ
- 調整後FCFの見通し:48~50億ドルへ
- 第4四半期の売上見通し:26.49~26.53億ドル
市場予想は通期売上が約82億ドル、調整後営業利益が47.9億ドルで、いずれも上回る見通しとなった。
受注の伸びは鈍化、会社は「契約期間の短期化」と説明
新規受注を示す総契約額(TCV)は前年同期比6%増の29.18億ドル、米国商業のTCVは11%増の14.63億ドルにとどまり、前期(それぞれ49%増、153%増)から急減速した。将来の売上となる受注残の積み上がりも鈍り、米国商業の残存契約額(RDV)は65.17億ドルと前期比4%増(前年同期比79%増)、全社の総RDVは134億ドルと前期比2%増(同55%増)にとどまった。
デビッド・グレイザー(David Glazer)CFOは電話会議で、この四半期に8桁ドル規模の案件を通常より短い契約期間で複数結んだと説明した。契約期間が短ければ1件あたりの契約総額は小さくなる。顧客がソブリンAIの初期機能を急いで導入したためで、同氏は今後、契約の期間・規模とも拡大するとの見方を示した。四半期ごとの振れを均した直近12カ月でみると、米国商業のTCVは61.14億ドルと、前の12カ月から62%増えている。
カープCEOのコメント
アレックス・カープ(Alex Karp)CEOは同日公表した株主書簡で、米商業が政府を上回ったことを「事業の根本的な変容」と表現した。かつて数カ月から数年を要した販売サイクルが、いまは数日から数週間に縮まったと主張し、「市場全体を取りにいく」と宣言した。企業のデータや業務基盤と結びつかない大規模言語モデル(LLM)のエージェントは、際限のないリスクを抱えるとも指摘した。
株価の反応
株価は2日の通常取引で前営業日比3.13%安の178.34ドルで引けた。決算発表後の時間外取引では、米東部時間午後6時28分時点で終値から2.83%安の173.30ドルと、市場予想を上回る決算にもかかわらず一段安となっている。
政府向けの会社というイメージが強かったパランティアで、民間需要が政府需要を追い越した。一方、カープ氏は書簡で、5つの政権にわたり米軍を支えてきた実績を強調し、自社を「反戦運動の先駆者」とまで位置づけた。政権交代や国防予算の動向に左右されにくい企業へ脱皮しつつあることを示したい意図が読み取れる。
次の注目点
市場予想を大きく上回る決算と見通しの引き上げにもかかわらず、株価は時間外で下落した。焦点は、受注の減速は「契約期間の短期化」によるものだという会社側の説明が、次の四半期以降に裏付けられるかだ。短期契約が予告通り大型・長期の契約に切り替わるなら、TCVの減速は一時的なものにとどまる。



