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キャシー・ウッドのARK、eVTOL株に集中投資――アーチャーとジョビーを買い増し、自動運転株も

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illustration of flying taxi
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キャシー・ウッド(Cathie Wood)率いるARK Investは今週(10月5〜9日)、eVTOL(電動垂直離着陸機)、いわゆる「空飛ぶタクシー」を開発するアーチャー・アビエーション(ACHR)とジョビー・アビエーション(JOBY)の株を買い増した。推計の買付額は、アーチャーが約1,340万ドル、ジョビーが約680万ドルで、合計約2,020万ドルとなる。 (金額は、売買株数に各取引日の終値を掛けた概算)

買いが集中したのは10月6日(火)で、1日でアーチャー株2,566,731株(約1,190万ドル)、ジョビー株753,330株(約440万ドル)を取得した。両社の株価は年初来でアーチャーが34%、ジョビーが59%下落しており、その中での買い増しとなった。同じ週には、自動運転関連の銘柄も連日買っている。

売買サマリー

アーチャー株は10月6〜8日の3日間、ARKイノベーションETF(ARKK)、ARK自律技術&ロボティクスETF(ARKQ)、ARK宇宙・防衛イノベーションETF(ARKX)の3本で、計2,876,873株を買った。このうち約9割が6日の取引で、ファンド別ではARKKが約200万株と全体の約7割を占める。

10月9日付の保有データによると、ARKは3本のETF合計でアーチャー株を30,687,882株(評価額約1.45億ドル)保有している。ファンドに占める比率は、ARKKが1.10%、ARKQが2.35%、ARKXが3.18%だった。今週の買いは、単純計算で週初の保有株数の約1割にあたる。

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ジョビー株は10月6〜7日の2日間、ARKQとARKXで計1,186,661株を買った。ARKKでは売買していない。保有は2本合計で6,637,874株(評価額約3,820万ドル)で、比率はARKQが1.23%、ARKXが1.92%。金額はアーチャーの半分ほどだが、週初の保有に対する上積みは約2割と、アーチャーより大きい。

両社の株価は下落が続いている。9月11日の終値と比べると、10月9日の終値はアーチャーが11.1%安の4.96ドル、ジョビーが14.9%安の5.44ドルだった。今週1週間(10月5日〜10月9日)では、アーチャーが1.4%上昇し、ジョビーは8.6%下落した。ARKの平均取得単価は、アーチャーが約4.65ドル、ジョビーが約5.77ドルとなる。

ARKは売買の理由を公表していない。ただ、両社はこの数カ月、事業の節目となる発表を相次いで行っている。

アーチャー:ボーイング傘下3社を買収し、防衛とAIへ

アーチャーは8月10日、ボーイング傘下の3社を買収することで最終合意したと発表した。eVTOLと自律飛行技術を開発するWisk Aero、航空交通管理システムのSkyGrid、偵察用無人機メーカーのInsituだ。ボーイングはアーチャーの株式を取得し、戦略的パートナーとして技術協力を続ける。

アーチャーによると、Insituだけで年間2億ドルを超える売上高があり、35カ国で事業を展開している。アーチャーはこの買収で、航空と防衛の分野にまたがる「フィジカルAI」のプラットフォームを築くとしている。

9月24日には、米独占禁止法(HSR法)に基づく待機期間が9月18日に満了したと発表した。ほかの規制当局の承認手続きは続いており、2026年末までの買収完了を見込む。

アーチャーは7月、防衛大手アンドゥリルと共同開発したハイブリッド型のVTOL機を公開した。防衛向けを「Thunder」、商用向けを「Halo」と名付けている。航空に特化したAI基盤モデル「ZEE」も発表した。

本業のeVTOL「Midnight」では、7月にカリフォルニア州のサリナスとモントレーを結ぶ都市間飛行を行い、片道約9分で結んだ(車では35分超)。年内には、米政府が後押しするeVTOL統合パイロットプログラム(eIPP)での運航開始を目指している。

ただし、収益化はまだ先だ。第2四半期の売上高は500万ドルにとどまり、純損失は2.6億ドル、調整後EBITDAは1.8億ドルの赤字だった。手元資金(現金・短期投資)は15.6億ドルで、前四半期から2.2億ドル減っている。

ジョビー:商用運航に向けて実地飛行

ジョビーは、商用の旅客サービスの開始に向けて準備を進めている。

eIPPは、米運輸省が3月に8つのプロジェクト(26州)を選定した3年間の計画で、eVTOLを実際の空域に組み込むためのデータを集める。ジョビーはニューヨーク・ニュージャージー、テキサス、ユタ、フロリダ、ノースカロライナの5プロジェクトに参加している。アーチャーもニューヨーク・ニュージャージーとテキサスに参加しており、テキサスにはアーチャーが買収するWiskも名を連ねる。

ジョビーは9月10日から、テキサス州ダラス・フォートワース地域でeIPPの飛行を始めた。世界有数の発着数を持つダラス・フォートワース国際空港(DFW)の管制空域に入って着陸したほか、トヨタ北米本社に向かう想定ルートも飛んだ。

FAA(米連邦航空局)の型式証明では、5段階のうち最終段階に入っている。自律飛行技術を載せたセスナ機「J208」で、米大陸を横断するデモ飛行も行っている。

第2四半期の売上高は3,860万ドルで、このうち3,620万ドルは買収した旅客ヘリコプター事業「Blade」によるものだった。純損失は2.5億ドル、調整後EBITDAは2.0億ドルの赤字。手元資金は23億ドルで、2026年通期の売上高見通しを1.15億〜1.25億ドルに引き上げている。

アーチャーが買収で防衛や無人機、航空AIへ事業を広げ、商用化の前に収益源を確保しようとしているのに対し、ジョビーは認証と実地飛行を重ね、旅客サービスの早期開始を目指している。

その他ハイライト

自動運転株も連日買い

ARKQでは、自動運転関連の5銘柄も買っている(金額は10月8日終値で換算した概算)。

  • オーロラ・イノベーション(AUR、自動運転トラック):529,654株(約300万ドル)
  • コディアックAI(KDK、自動運転トラック):4日連続で計1,198,523株(約200万ドル)
  • ポニーAI(PONY):3日連続で計321,761株(約190万ドル)
  • ウィーライド(WRD):3日連続で計399,666株(約180万ドル)
  • バイドゥ(BIDU):11,484株(約100万ドル)

合計は約970万ドルとeVTOLより小さいが、5銘柄を同時に買い増した。ポニーAI、ウィーライド、バイドゥの3社は、いずれも中国でロボタクシー事業を手がけている。

宇宙・防衛関連では、防衛のクレイトス・ディフェンス(KTOS)をARKKで3日連続、計469,820株(約1,970万ドル)買った。金額ではジョビーを上回る。物流ロボットのシンボティック(SYM、約870万ドル)、軍用ドローンのエアロバイロメント(AVAV、約860万ドル)、月面探査のインテュイティブ・マシーンズ(LUNR、約720万ドル)も買い増している。

一方、半導体検査装置のテラダイン(TER)は、ARKQとARKXで計99,166株(約3,950万ドル)売った。衛星通信のイリジウム(IRDM)は4日連続で売り、10月9日の売却で保有がなくなった計算になる。イリジウムは、ロケットラボ(RKLB)による買収手続き中で、完了は2027年半ばの見込みと報じられている。

このほか、ゲノム関連では解析ツール・検査銘柄の売りと、AI創薬のリカージョン・ファーマシューティカルズ(RXRX、計3,702,741株)などの買いが続いた。

今後の注目点

アーチャーはボーイング傘下3社の買収完了とeIPPでの運航開始、ジョビーは型式証明の取得とeIPPでの最初の乗客輸送が、当面の節目となる。両社とも赤字が続き、手元資金で開発を続けている段階だ。ARKが年初来で大きく下げた両社株を買い増した判断が報われるかは、こうした商用化の進み具合にかかっている。