先週開かれた下院金融サービス委員会公聴会に、SEC(米証券取引委員会)委員長ポール・アトキンスが証人として出席した。
トランプが掲げる「米国を暗号資産の世界の首都に」という構想を強調するアトキンスに対し、民主党議員らは、トランプ関連の暗号資産企業への執行緩和が市場の信頼を損ねていると厳しく追及した。
New York Timesによると、トランプ就任後、SECは暗号資産関連訴訟の約60%を中止または保留。これにはRipple LabsやBinanceに対する大規模案件も含まれている。
マサチューセッツ州選出のスティーブン・リンチ民主党議員は、Binance訴訟の取り下げを問題視した。
アトキンス就任直後にSECが訴訟を取り下げた点に加え、昨年10月、トランプがマネーロンダリング罪で有罪となった前CEOチャンポン・ジャオに恩赦を与えたことを指摘。
さらに、アブダビ政府系MGXがトランプ家関連企業WLFの暗号資産を20億ドル相当購入し、その後Binanceに投資した流れにも触れ、「大統領の会社が巨額の利益を得た」と糾弾した。
「なぜこのようなことが何の執行措置もなく起きているのか。大統領の行動に責任がないなど信じられない」
アトキンスは「個別案件にはコメントできない」と応じたが、リンチは反論。
「こうした詐欺が横行している。今の仮想通貨を見てほしい。先月で25%も下落した。人々は仮想通貨への信頼を失っているのだ」
民主党筆頭委員のマキシン・ウォーターズ下院議員は、Tron創業者ジャスティン・サンの件を取り上げた。
SECは2023年、未登録証券販売およびTRX価格操作の疑いでサンを提訴。しかし昨年2月、訴訟の保留を裁判所に申請した。
その直前、サンはトランプ関連のミームコインを7,500万ドル分購入。5月には主要保有者としてトランプとのプライベートディナーにも出席している。
ウォーターズは「恩恵を受けているのはトランプ家に多額の資金を提供した者ばかりだ」と批判。
さらに、サンの元交際相手が偽取引アカウントを用いた価格操作に関する証拠を保有していると主張している件にも言及し、「本委員会は真相解明まで調査を続ける」と宣言した。
イリノイ州選出のショーン・カステン議員は、SECが昨年示した企業が株主提案を阻止しやすくする指針に言及。
WLFとカストディ企業BitGoとの取引に違法性があるとする株主提案が阻止された場合、「あなたはそれに反対するのか。それともトランプを怒らせることになるから危険すぎると考えるのか」と迫った。
暗号資産コミュニティの変調
Axiosによれば、昨年10月以降、世界の暗号資産市場から数兆ドル規模の価値が消失している。
2024年大統領選でトランプを強く支持し、「暗号資産の黄金時代」を期待していたコミュニティからも不満が上がり、“最大の味方”とみなされたトランプが、「最も目立つスケープゴートの一人」になりつつあるという。
著名インフルエンサーのカール・ルネフェルトはXで、
「トランプはビットコイン30万ドルを信じる理由だった。結果的に彼は暗号資産にとってマイナスだった。彼を大統領にしたのは大きな間違いだった」
と投稿。
別の主要アカウントはこう皮肉った。
「トランプが“暗号資産利益に課税しない”と言ったとき、利益そのものを消すとは思わなかった」

