ホーム ポリティクス 保守陣営水面下の攻防:「バ...

保守陣営水面下の攻防:「バンスはタッカーの子分」――クルーズ発言が流出

11
lev radin/shutterstock

共和党のテッド・クルーズ上院議員(テキサス州)が昨年、支援者との会合で、JDバンス副大統領を「タッカー・カールソンの子分」と呼び、強い不満を示していたことが明らかになった。

米ニュースサイトAxiosが、会合の録音テープを入手し報じた。録音は昨年初旬から中頃にかけて行われたもので、共和党関係者の情報提供によるものだという。

Axiosによると、クルーズは会合の中で「タッカーがJDを作った。JDはタッカーの子分で、彼らは一心同体だ」と語ったほか、イランへの空爆を支持していたマイク・ウォルツ国家安全保障担当補佐官の解任を推し進めたのは、この二人だと明かした。

さらにクルーズは、タッカー・カールソンとバンスが、ダニエル・デイビス退役陸軍将校を国家情報副長官に起用するよう働きかけたとした上で、自らがその人事を阻止する側に回ったことも漏らしたという。

デイビスは、イスラエルによるガザ攻撃および米国の軍事支援を強く批判してきた人物である。昨年3月、同職への起用が報じられると、親イスラエル派の著名人や団体が強く反発し、最終的に指名が撤回された。

Advertisement

500万人を超えるYouTubeフォロワーを抱え、保守陣営に大きな影響力を持つカールソンは、反介入主義・孤立主義的な立場から、イスラエルのガザ戦争や、ワシントンにおける親イスラエル・ロビーの政治的影響力を繰り返し批判している。

こうした姿勢に対し、保守派内部でカールソンの影響力を警戒し、排除しようとする動きが目立ち始めている。

SNS上で拡散されている動画によると、今月開かれたイスラエル・アメリカ評議会(IAC)の会合で、全米最大規模のユダヤ人市民団体・名誉毀損防止連盟(ADL)のCEO、ジョナサン・グリーンブラットは、ホロコースト否定論者のインフルエンサー、ニック・フエンタスらと並べてカールソンの名を挙げた。その上で、「タッカー・カールソンを倒すには右派の人々が不可欠だ。だからテッド・クルーズを支援しようとしている」と語る場面が確認できる。

一方、トランプ政権内の「裏切り者」を監視する役割を自認し、「誇り高きイスラム嫌悪」を自称する極右活動家ローラ・ルーマーは、今月、ベネズエラの石油事業再建をめぐる石油会社幹部の会合にカールソンが招かれたことに強く反発。「とんでもない判断だ」としてホワイトハウスを激しく非難した。

その後、この招待がバンスによるものだったと判明すると、ルーマーは自身の配信番組でバンスを名指しし、次期大統領を目指す人物として「道徳的基準」を示すべきだと迫った。以降も、カールソン批判を執拗に繰り返している。

少なくとも表向きは、カールソンやバンスと友好関係を保っているクルーズは、昨年6月、カールソンの配信番組に出演している。番組内でクルーズは、クリスチャン・シオニズムの信念を語ると同時に、イスラエル支援が米国の安全保障に絶対的不可欠だと主張。互いに声を荒げる場面も見られた。

ワシントン・ポストが昨年12月に報じたところによると、クルーズは、アメリカ・シオニスト機構のモートン・クライン会長に対し、2028年大統領選への出馬を真剣に検討していると明かしたという。一連の動きには、JDバンスがMAGA運動の継承者として最有力視されるなか、伝統的タカ派・親イスラエル派の支持を固め、次期大統領選に向けた対抗軸としての存在感を早期に確立する狙いがあると見られる。