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最高裁 関税判決2度先延ばし トランプ追い風の兆しか

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carlos110/shutterstock

米連邦最高裁が、トランプ政権による関税措置の合法性を巡る判決の公表を再び見送ったことが、市場や法曹関係者の注目を集めている。判決の先送りは先週に続いて2度目となり、この「沈黙」そのものが、必ずしもトランプ側に不利ではないとの見方が浮上している。

審理の対象となっているのは、1977年の国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠に、トランプが発動した大規模関税の是非だ。下級審はすでに、IEEPAは大統領に広範な関税権限を与えるものではないとして、輸入業者ら原告側の主張を支持してきた。

それにもかかわらず、最高裁が即断を避けている点について、一部では政権側にとって前向きなシグナルではないかとの声が出ている。クラーク・ヒル法律事務所の通商弁護士、ケルシー・クリステンセン氏はマーケットウォッチに対し、「判決までの待ち時間が長いことは、輸入業者側よりもトランプ政権にとって良い兆候である可能性が高い」と指摘する。ただし同氏は同時に、「それが結果を保証するわけではない」とも強調した。

クリステンセン氏によれば、口頭弁論からまだ約2カ月しか経過しておらず、「11月から1月の間に主要な判決を出すのは、最高裁としては異例の速さ」だという。現在は、多数派意見の形成に加え、反対意見や部分的同意意見の調整が行われている段階ではないかとの見方を示した。

一方で、判決の遅れは、関税が違法と判断された場合の「救済措置」を巡る議論が難航しているためではないかとの指摘もある。シラキュース大学ロースクール学部長で元通商弁護士のテレンス・ラウ氏は、関税返金の扱いが大きな論点になっている可能性を挙げる。

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仮に関税が無効とされた場合でも、過去に徴収した関税を返還するのか、それとも将来分のみを無効とするのかによって、手続きや財政への影響は大きく異なる。ラウ氏は「関税が長期間維持されるほど、遡及的な返金は米財務省にとって壊滅的な打撃になりかねない」と指摘する。また、この案件では複数の意見が併記される可能性が高く、たとえ合憲判断が出たとしても、その適用範囲は極めて限定的なものになるとの見方を示した。

トランプ政権、代替ルートも視野

現在の最高裁は保守派6人、リベラル派3人という構成だが、11月に行われた口頭弁論では、判事らが合憲性に懐疑的な姿勢を示したと報じられている。

トランプは、最高裁が関税を無効とすれば「米経済は大きな打撃を受ける」と繰り返し主張している。今週のSNS投稿でも、関税返金について「国家として支払うのはほぼ不可能で、完全な混乱を招く」と警告した。

もっとも政権側は、IEEPAが否定された場合でも、1974年通商法301条や122条、1962年通商拡大法232条といった別の法的根拠を用いて関税を維持する選択肢を検討しているとされる。最高裁の判断がどのような形で示されるにせよ、関税政策を巡る法的・政治的な駆け引きは、なお続く見通しだ。