トランプ支持層に影響力を持つ大物インフルエンサー間の対立が、さらに先鋭化している。
9日、トランプ大統領がホワイトハウスで開いた、ベネズエラの石油事業再建をめぐる石油会社幹部との会合に、FOXニュースの元看板司会者タッカー・カールソンが同席していたことが明らかになり、MAGA陣営内で波紋が広がっている。
カールソンの出席が驚きをもって受け止められたのは、彼が近年、トランプ政権の外交政策、とりわけイスラエルとの関係やイランへの軍事行動に批判的な立場を取ってきたからだ。ベネズエラへの軍事介入についても一貫して懐疑的で、侵攻や戦争には否定的な見解を示してきた。
さらにカールソンは、昨年10月、自身のポッドキャストで白人至上主義者として知られるニック・フエンテスへのインタビューを実施。この判断や、カタールとの関係をめぐる疑惑をきっかけに、MAGA陣営で強い影響力を持つ親イスラエル派論客ベン・シャピーロや、極右活動家ローラ・ルーマーと激しく対立してきた経緯がある。
今回の会合出席に、真っ先に反発したのがルーマーだった。彼女はX(旧Twitter)上で、「タッカー・カールソンはベネズエラでの軍事作戦を批判し、トランプ大統領が私たちを新たな世界大戦に巻き込もうとしていると虚偽を拡散してきた人物だ」と主張。「そんな人物がなぜホワイトハウスの会合に出席しているのか」と疑問を呈し、「とんでもない判断だ」とホワイトハウスを非難した。
さらにルーマーは、カールソンを「激しいユダヤ人嫌悪者であり、イスラムの代弁者だ」と断じ、「大統領執務室に足を踏み入れるべき人物ではない」と強い言葉で攻撃。その後も投稿を重ね、「なぜトランプ政権は、このユダヤ人嫌いをホワイトハウスに招き入れるのか」「こんなトランプ嫌いを容認するなんて失望した」と不満を爆発させた。
ルーマーはまた、トランプ側近の中に「大統領を弱体化させようとする動きを非難する勇気のない者」や、「反米・反ユダヤ的行為を黙認している者」がいると指摘し、「非常に不快な光景だ。2026年の大統領選のモラルに大きなダメージを与える」と警告した。
一方、反介入主義の立場を鮮明にしてきたカールソン自身は、昨年10月、ベネズエラ侵攻反対の論陣を張る中で、同性婚や中絶、性転換を禁止している同国を「アメリカ大陸で最も保守的な国家の一つだ」と説明。マドゥロ政権転覆を狙う動きは「グロボホボ」と批判していた。
もっとも、ベネズエラへの軍事行動後に公開したポッドキャストでは、トランプがマドゥロの副大統領を暫定的にトップに据え、野党指導者マリア・マチャドに政権を委ねなかった点について、「賢明な解決策だ」と一定の評価を示している。
またカールソンは、「国家主権」や「人権」「国際法」といった「空虚な理論」を前面に出さず、資源確保を目的とする帝国主義的論理を明確に打ち出したトランプの姿勢を、米国の外交政策における「大いなる改善」だと評価。その一方で、「帝国主義フェーズに入った米国には、真剣で賢明な判断が求められる」と述べ、「テッド・クルーズやローラ・ルーマーのように、国を紛争へと誘い込もうとする人物は不要だ」と切り捨てた。
トランプ支持層内部では、外交・軍事をめぐる路線対立が、影響力を持つ論客同士の公然たる衝突へと発展しており、中間選挙を控えMAGA陣営の亀裂は今後も拡大していく可能性がある。
