「素敵な夕食」:マスク、トランプとのブロマンス復活をアピール

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Joshua Sukoff/shutterstock

イーロン・マスクは4日、X(旧ツイッター)で、フロリダ州のトランプ私邸マール・ア・ラーゴでトランプ夫妻と「素敵な夕食」をともにしたと報告し、「2026年は素晴らしい年になるだろう!」と書き込んだ
投稿に添えられた写真には、3人が円卓を囲み、マスクがトランプの話に耳を傾ける様子が写っており、両者の関係修復を印象づけるものとなった。

この2日前、マスクは共和党への資金提供再開を示唆する投稿を行い、関連報道を事実上認めたと受け止められていた。
マスクは、ホワイトハウスのイベントでトランプから肩を叩かれる場面を収めた動画付き投稿を拡散し、「極左が勝てば、アメリカは終わる。不法移民と詐欺への扉が開かれ、もはやアメリカではなくなる」と主張。元の投稿には、「トランプが完全な権力を取り戻すのを支援するため、共和党に全面的に資金提供している」との説明が添えられていた。

両者の関係悪化が表面化したのは、昨年6月初旬だ。
政府効率化省を去った直後のマスクは、トランプが推進する「大きくて美しい法案」を「醜い」と公然と批判し、自身こそが共和党とトランプを勝たせた立役者だと主張。トランプを「恩知らず」と非難し、対立は一気に激化した。

マスクの不満は、この法案にとどまらなかった。
スペースXと関係の深い億万長者、ジャレッド・アイザックマンのNASA長官指名をトランプが撤回したことにも強い反発を示した。
一部報道によると、当時ホワイトハウス人事局長だったセルジオ・ゴーが、マスクが特別政府職員としての最終日に、アイザックマンが民主党に寄付していたことを示す資料をトランプに手渡し、指名撤回を促したとされる。

怒りを募らせたマスクは、第三政党設立の構想を打ち出すとともに、根拠を示さないまま「爆弾」と称し、X上で「エプスタイン・ファイルにトランプの名前が載っている。それが公表されない真の理由だ」と主張した。
この発言は大きな波紋を広げたが、具体的な証拠は提示されなかった。

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トランプも黙ってはいなかった。
マスクの企業と政府との契約打ち切りをちらつかせ、民主党候補に資金を提供すれば「深刻な結果」を招くと警告。両者の応酬はネット上での激しいつばぜり合いへと発展した。

ワシントン・ポストによると、冷え切った二人の関係改善には、JD・バンス副大統領の働きかけがあったという。
元シリコンバレーの投資家という共通点を持つバンスは、マスクの側近に直接連絡を取り、第三政党構想の撤回を促した。共通の知人であるホワイトハウスのAI担当責任者デビッド・サックスも、両者の分裂がもたらす悪影響をマスクに伝えたとされる。

さらにバンスは、マスクにとって最優先事項と見られていたアイザックマンのNASA長官就任について、上院商務委員会関係者と協議し、迅速な承認が得られるよう調整を進めたという。

こうした政治的駆け引きとは別に、マスクの心境に影響を与えた出来事もあった。
9月、保守系政治団体「ターニングポイントUSA」のチャーリー・カークが、ユタ州のキャンパス内イベント中に殺害された事件だ。マスクの活動に詳しい人物によると、彼はこの事件を受け、「行動を起こさざるを得ない」と感じたという。

11月には、マスクはホワイトハウスで開かれた夕食会に招かれ、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子とも交流を深めた。
政治ニュースサイト『Politico』によると、同月22日、元政府効率化省メンバーの同窓会にビデオ出演したマスクは、米国は第2次トランプ政権と、それに続くJD・バンス政権の2期にわたる「偉大な12年間」の幕開けを迎えていると語ったという。

無尽蔵とも言える資金力を持つマスクの政治的復帰は、共和党にとって追い風となり得る。しかし、それが実際にどれほどの票を動かすかは不透明だ。

ニューヨーク・タイムズの世論調査分析によれば、政府効率化省という構想自体への評価は賛成が反対を14ポイント上回った一方、マスク個人の仕事ぶりに対する評価はマイナス18ポイントと否定的な見方が強かった。
また、マスクに対する「レファレンダム」とも呼ばれた昨年4月のウィスコンシン州最高裁判事選では、マスクが100万ドルを投じて支援した保守派候補が、リベラル派候補に10ポイント差で敗れている。

さらに、スティーブ・バノンをはじめ、MAGA内部にはシリコンバレーの億万長者に対する根強い警戒感も残っている。