ウディ・アレンの回顧録 出版取りやめに

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4月に発売を予定していたウディ・アレン(Woody Allen)監督の回顧録について6日、アシェット・ブック・グループ(Hachette Book Group)は出版を取りやめると発表した

アレン氏には1990年代、女優のミア・ファロー(Mia Farrow)さんとの間の養女、ディラン・ファロー(Dylan Farrow)さんに、わいせつ行為をした疑惑がある。アレン氏は一貫して疑惑を否定しているが、#MeTooムーブメント以降、ディランさんがテレビに出演し、真相を告発するなど、再び当時の出来事に注目が集まった。

アシェットグループのグランド・セントラル・パブリッシング(Grand Central Publishing)は今週月曜、ウディ・アレンの回顧録「Apropos of Nothing」を4月7日に発売すると発表したばかりだった。

同社によると、回顧録は「ウディ・アレンの個人的かつ職業人としての包括的な説明」で、「映画や劇場、テレビ、ナイトクラブ、出版物」や「家族や友人、愛する人々」について、つづられたものだという。北米のほか、イタリア、フランス、ドイツ、スペインなど世界各国で発売を予定していた。

回顧録発売の発表は、ディランさんだけでなく、ディランさんの弟でジャーナリストのローナン・ファロー(Ronan Farrow)氏や、出版社の従業員からも非難されていた。

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ローナン・ファロー氏は、アシェット社に対しSNSで「私の著書『キャッチ・アンド・キル(Catch and Kill)』は、ウディ・アレンのように大きな権力を持つ男性たちが、いかに性的虐待に対する説明責任を果たすことを避けてきたかに関するものだ。この本を執筆中に、私やあなたの従業員に知らせずに、大手出版社が出版を断ってきたアレンの回顧録の出版権を獲得したと知って、私は落胆している。」と述べた。また、当事者のディランさんには、一度も連絡を取らなかったとして、アシェット社は事実確認を行っていないと批判した。
「Catch and Kill」は昨年、アレン氏の回顧録と同じアシェット・ブック・グループから発売された

5日には、ローナン氏の見解を指示する出版社の社員らは、ウォークアウトを行い抗議を行った。

NBCニュースによると、回顧録は2003年にペンギン(Penguin)が出版権を獲得していたが、発売されなかった。