ロシア国籍取得のスノーデン ウクライナ戦に招集される可能性は?

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スパイ法違反で米国当局から訴追され、ロシアに亡命したエドワード・スノーデン氏(39)が26日、プーチン大統領からロシアの国籍を付与された。同日に市民権を取得したのはスノーデン氏を含め72名。オンラインで公表された大統領令には、「ロシア連邦憲法第89条“a”項に基づき、次の者のロシア連邦市民権を認める:エドワード・ジョセフ・スノーデン、1983年6月21日、米国生まれ」とある。

一方ロシアでは、攻勢を強めるウクライナ軍に対抗するため、プーチン氏が今月、予備役30万人を招集する「部分的動員令」を発表。これを受け、徴兵を免れたい若者らが国を脱出しようと国境に押し寄せる異常事態となっている。

国籍付与の知らせに、一部でスノーデン氏も徴兵対象にされるのでといった憶測が広がっており、国務省のプライス報道官も26日の会見で、スノーデン氏は徴兵される可能性が高いとの考えを示した。

これに対して、ロシアでスノーデン氏の代理人を務めるアナトリー・クチェレナ弁護士は、国営通信社「RIAノーボスチ」の取材に、徴兵の可能性を否定。理由は、ロシア軍での従軍経験がないためと説明した。

プーチン氏の部分的動員令では召集の対象を原則、戦闘経験や従軍経験のある者と定めている。ただ、実際には一度も従軍経験がない人にも召集状が届いているという報告も多くあり、兵役を免除されるはずの学生、高齢者、持病のある人など本来対象外の人が召集されるケースが相次いでいると、様々なメディアが報じている。

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スノーデン氏は、米国家安全保障局(NSA)の契約職員だった2013年、英ガーディアン紙や米ワシントン・ポスト紙に対して機密情報を暴露し、その後ロシアに亡命した。米国政府は同年、機密情報の第三者機関への不当な提供、機密情報の不当な開示、政府の所有物の窃盗などを含むスパイ法違反でスノーデン氏を訴追した。有罪となれば1つの罪状につき最大10年の禁錮刑が科される。

スノーデン氏は2020年にロシアの永住権を取得。同年には米国人アクロバットダンサーの妻、リンジー・ミルズさんとの間に息子も誕生した。当時スノーデン氏はツイッターに、自分も妻も「アメリカ人で居続け、私たちが愛するアメリカの価値観をもって息子を育てていく」と思いをつづっていた。

クチェレナ弁護士によると、ミルズさんもロシア市民権を申請する計画で、子供はロシアで生まれたためロシア国籍を所持しているという。