コロナで死亡した音楽家の妻 ファウチ博士を非難、米政府機関を提訴

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新型コロナウイルスで夫を失ったミズーリ州の女性が、伴侶の死は国立衛生研究所などの政府機関によって間接的に引き起こされたものだと主張。賠償を求める訴訟を提起した。ロー・アンド・クライムが報じた。

原告は、2020年11月にコロナにより他界したカンザスシティのミュージシャン、ジミー・ダイクスさんの妻リーン・ダイクス氏。国立衛生研究所(NIH)と国立アレルギー感染研究所(NIAID)、非営利研究機関エコヘルス・アライアンス(EHA)を訴えた。

ダイクス氏は訴状で、「2019年9月頃、COVID-19ウイルスが中国の武漢研究所からリークした。そこでは、機能獲得研究を含む、コロナウイルスに対する研究が行われていた」と主張。「機能獲得研究」について、「実験を伴い、病原体の伝染性および/または病原性を高める」研究で、「ウイルスの感染性や致死性または、毒性を高めることを目的としている」と説明した。

その上で、2014年から2019年にかけて、NIHとNIAIDがEHAへの助成金を通じて、研究に部分的に資金を提供していたと指摘。NIHの所長だったフランシス・コリンズ博士(2021年に退任)と、大統領首席医療顧問でNIAIDの所長、アンソニー・ファウチ博士を名指しし、実験の事実や安全対策および監督上の問題を把握する立場にありながら、「怠慢」かつ「不注意」に資金を提供したと非難した。

「被告NIH、NIAID、米国、およびEHAが、武漢ウイルス研究所に資金を提供する際に犯した過失と不作為な行為の直接の結果として武漢研究所は、致死的なコロナウイルスを作り出し、それが研究所から漏れて世界中に拡散、夫ジミー・ダイクの死を引き起こした」と主張。ミズーリ州法に定められた「不法死亡」の「痛みと苦しみ」に基づく損害賠償、夫を失ったことにより生じた損失に対する補償を求めている。

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コロナウイルスの起源は、最終結論に達していない。自然発生説が有力視されているが、中国の研究所から流出したとする説も否定されるに至っていない。今月退任することになったファウチ博士は先日、テレビ番組のインタビューで、研究所説を全面的に否定せず、場合によっては受け入れる可能性もあるとの立場を示した。

武漢研究所へのファンディングについて、NIHとNIAIDは2021年5月の声明で、「コロナウイルスの伝染性やヒトに対する致死率を高める”機能獲得”研究を支援する助成金を承認したことはない」と否定している。