エリザベス英女王の国葬が19日、ロンドン中心部のウェストミンスター寺院で営まれた。王室メンバーの多くが軍服を着て葬儀に臨む中、女王の直系子孫の一人であるヘンリー王子はモーニングスーツ姿で参列。処遇の違いがあらわになったと話題を呼んだ。

19日午前、ウェストミンスター・ホールに安置されていたエリザベス女王の棺は、ウェストミンスター寺院へと移された。チャールズ国王(73)、アン王女(72)、エドワード王子(58)、ウィリアム皇太子(40)といった面々はみな軍服を着て棺の後ろを歩いたが、彼らに並んで歩いたアンドルー王子(62)と孫のヘンリー王子(38)の2人は、軍服ではなくモーニングスーツを着ていた。

2人が軍服でなかったのは、エリザベス女王の追悼儀式に軍服で参加するのは軍の階級を持ち公務に携わっている王室メンバーのみと、英王室が事前に定めていたため。英王室を離脱したヘンリー王子と、米国で性的スキャンダルを起こしたアンドルー王子はいずれも公務から引退している。ちなみにヘンリー王子のいとこでアン王女の長男、ピーター・フィリップス氏(44)も軍の階級を持たないため、モーニングスーツでヘンリー王子の傍らを歩いていた。

ヘンリー王子は10年間英陸軍に所属し、アフガニスタンに2度派遣された経験もある。2020年3月、妻のメーガン妃とともに公務から退いたことで軍人としての称号を失ったものの、かつては軍から3つの名誉称号を受けた。

ヘンリー王子の広報担当は事前の声明で、王子は女王死去に伴う一連の儀式を通じてモーニングスーツを着用する計画だとした上で、「王子の10年にわたる軍での功績は、軍服では計れません。引き続き女王エリザベス2世の人生とレガシーに、焦点を当てていただくようお願いします」とコメント。ヘンリー王子は軍服着用にこだわらないという姿勢を示しつつ、服装に報道が集中しないようけん制していた。

一方、アンドルー王子は英海軍に22年間所属し、1982年のフォークランド紛争ではヘリコプターのパイロットを務めるなど、豊富な従軍経験を持つ。しかし、性的人身取引罪で起訴された米富豪、ジェフリー・エプスタイン被告(拘留中に自殺)の被害者の一人、バージニア・ロバーツ・ジュフレさんから性的暴行被害を告発され、訴訟沙汰となった。王子は疑惑を否定していたものの、裁判では和解が成立した。2022年1月、軍の名誉職や「殿下」の称号を返上している。

国葬に先立ち14日、女王の棺がバッキンガム宮殿から安置先のウェストミンスター・ホールに移された際にも、軍服姿の王室メンバーに交じってヘンリー王子とアンドルー王子はやはりモーニング姿で棺の後ろを歩いた。

ただ、2人にも一度だけ、軍服で追悼の儀式に参加することが許された日がある。

16日、ウェストミンスター・ホールで行われた女王の子供たち4人による通夜の儀式では、アンドルー王子が兄弟たちとともに軍服を着て女王の棺の前に立った。

そして翌17日には、女王の孫8人による同様の儀式が行われ、ここではヘンリー王子が兄と同様に近衛騎兵連隊「ブルーズ・アンド・ロイヤルズ」の制服姿で参加した。情報筋によると、この1日限りの軍服着用は、「チャールズ国王の要請」により特別に許可されたものだという。

ただし、ウィリアム王子の肩にはエリザベス女王のイニシャル「ER」があったが、ヘンリー王子の軍服からは外されており、ここでも立場の違いが示された(アンドルー王子にはつけられていた)。サンデー・タイムズによると、ヘンリー王子はこれに強いショックを受け、恥をかかされるのを避けるために、モーニングを着用することを考えたほどだったという。情報筋は同紙に、ヘンリー王子はこの対応に意図的なものを感じていたとも語っている。