ブレット・カバノー氏とは?最高裁判事承認指名公聴会がスタート

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Brett Kavanaugh
Senate Judiciary Committee Chairman Chuck Grassley meets with Supreme Court nominee Judge Brett Kavanaugh, July 2018 :Wikimedia/Office of Senator Chuck Grassley

4日、トランプ大統領が7月に最高裁判事に指名したブレット・カバノー氏(Brett Kavanaugh)の上院司法委員会での指名承認公聴会がスタートした。公聴会は少なくとも4日間行われる予定で、基本的に公聴会後の投票により過半数の51票以上を獲得することで承認が決定する。

公聴会初日は、カバノー氏に反対する活動家の抗議や公聴会の延期をもとめる民主党議員によって、大幅にスタートが遅れた。

民主党議員は、カバノー氏がジョージ・W・ブッシュ大統領政権スタッフを務めていた時期について、すべての資料が提出されていないことから公聴会の延期を主張。また、公聴会前夜になって4万ページ以上の資料を提出されたことから、カマラ・ハリス(Kamala Harris)議員らはレビューにさらなる時間が必要だと延長を求めた。チャック・グラスリー委員長(共和、アイオワ州)はこれを、議事規則に違反するとしたほか、すでに委員会のホームページに約30万が閲覧可能となっているなどと述べ、公聴会を続行した。

会場には大勢の抗議者が詰めかけた。NBCニュースによると、午前10時過ぎ時点で、既に22人の逮捕者が出ていたという。公聴会の途中でも、抗議者が乱入する騒動があった。

また、休憩の際、フロリダ州パークランドのマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校銃乱射事件で高校生のジミーさんを失った父親、フレッド・グッテンバーグ(Fred Guttenberg)さんが、カバノー氏に、事件で息子を失った父親だと、自己紹介しようとした場面もあったが、カバノー氏はその場を立ち去った。

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フレッドさんは、後にツイッターで、カバノー氏に自己紹介した後、彼が手を引っ込め、歩き去ったとし、「銃規制の現実に向き合いたくなかったのだと思う。」と述べた。

銃規制に関しては、2011年ワシントンDCの巡回裁判所は、殺傷性の高い銃を禁止する判決を支持した際、この裁判の担当判事だったカバナー氏は、認可された銃と、認可されていないセミオートマチック銃を人為的に区別しただけであり、半自動銃の禁止は、憲法違反であると主張している。

ブレット・カバノー(Brett Kavanaugh)とは?

現在、D.C.巡回区控訴裁判所の判事であるカバノー氏(53)は、1965年にワシントンD.Cに生まれ、メリーランド州ベセスダで育った。昨年、最高裁判事に就任したニール・ゴーサッチ氏と同じ、ジョージタウン・プレップスクールを卒業後、イェール大学に進学。1987年に学士号を取得し、1990年に同大学ロースクールを終え、法務博士を取得した。

1993年より、今年7月31日で最高裁判事を退任したアンソニー・ケネディ判事の事務官の職を務めたのち、ケネス・スター独立検察官の補佐官として、クリントン政権とヴィンスフォスターの自殺の捜査に携わった。この時、ビル・クリントン大統領を弾劾裁判へと導いたスターレポートの作成において主要な役割を果たした。2001年からブッシュ政権のスタッフに加わり、2003年にブッシュ大統領から控訴裁判所判事に指名され、2006年に現在の職に承認された。

2018年7月9日に、トランプ大統領はカバノー氏をアンソニー・ケネディ判事の後任に指名。指名にあたり、トランプ大統領は「法律専門家の間で、彼は判事の中の判事であると評価されている」「最も鋭い法律精神を持ち合わせている」とカバノー氏が適任であることをアピールした。

ケネディ判事は中道保守派の判事として知られ、アファーマティブ・アクションや中絶、同性婚など重要な社会問題に関する判決において決定的な役割を果たしてきたが、ケネディ判事が保守派のカバノー氏に置き換わることに、民主党側は警戒を強めている。

警戒の理由の一つは、カバノー氏が、現職の大統領は起訴されるべきではないとする立場をとっていることがあげられる。2009年にMinnesota Law Reviewという出版物に寄せた記事で、カバノー氏は「オフィスにいる間、大統領は一般市民が負ういくつかの義務を免除されるべきである」、また「現職の大統領に民事、犯罪捜査または刑事訴追の義務を負わせるべきではない」とし、現職の大統領に対する訴追や審理は政府の力をそこなう、と記している。トランプ大統領の弁護士をつとめるルディ・ジュリアーニ氏は度々メディアに登場し、同様の見解を主張している。

医療保険改革法については、2011年のSeven-Sky v. Holderの事件において、D.C.巡回区控訴裁判所は保険の加入強制の義務付けの合憲判決を維持した際、カバノーは反対票を投じている。反対意見で、強制加入は本質的に税であり、司法権がおよばないとする見解を述べた。

また、昨年のGarza v. Hargan事件で、中絶手術を求める不法滞在者の少女が中絶のために収容施設を離れることを控訴裁判所が認めた判決ついて、反対に回ったカバノー氏は、政府の収容施設にいる未成年の不法移民に、要求に応じてすぐに中絶を可能とする新たな権利をつくりだした、とし「最高裁の中絶判決の過激な拡大」と反対意見を付している。

ソースNBC NEWS